オフィスの設計を成功させるための具体的な手順とポイントを解説

オフィスは、従業員が1日の多くの時間を過ごす場所です。オフィスの設計を通じて従業員にとって働きやすい環境をつくると、さまざまなメリットが得られるほか、会社が成長する大きな力にもなるでしょう。
本記事では、オフィスを設計する目的とメリットのほか、オフィスの設計を成功させるための具体的な手順を解説。オフィスを設計する際に押さえておきたいポイントと注意点についてもご紹介します。
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目次
1. オフィスを設計する目的は、従業員が働きやすい環境をつくること
オフィスを設計する目的は、従業員にとって働きやすい環境をつくり、仕事への満足度や生産性を向上させることです。オフィスを従業員が出社したくなる魅力的な空間にしようとする動きは、出社が中心の働き方に回帰する流れの中で、ますます強くなっています。
また、オフィスは取引先や来訪者に対し、会社のブランドイメージやメッセージを発信する場でもあります。だからこそ、社外の人々にも企業の価値観やビジョンを反映したデザインを考慮することが必要です。
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2. オフィスを計画的に設計するメリット
オフィスの設計は、単なる空間づくりにとどまらず、企業の生産性向上やブランドイメージ向上に大きく貢献するなど、さまざまなメリットをもたらします。主なメリットは下記のとおりです。

オフィスを計画的に設計することで得られる4つのメリット
2-1. 社内のコミュニケーションを活性化できる
オフィスの設計に工夫を凝らすことで、従業員同士のコミュニケーションを促進できます。
例えば、オープンスペースを設けると、自然な会話や部門を越えた情報共有が生まれやすくなります。また、チームの連携が深まり、業務効率が向上するでしょう。
2-2. 従業員の満足度が高まる
オフィスを設計して快適な仕事環境をつくると、集中力やモチベーションの向上につながります。結果として、仕事に対する満足度を高め、離職率の低下や採用活動への好影響も期待できるでしょう。
例えば、サーカディアンリズム(24時間周期の体内リズム)を取り入れた明るい空間や、適切な広さでレイアウトされた作業スペースは、従業員の快適さを高める効果があります。
サーカディアン照明について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
健康経営のために注目されるサーカディアン照明のオフィス活用
2-3. 生産性向上につながる
生産性向上につながることも、オフィスを計画的に設計するメリットです。例えば、頻繁に会議が行われる部署の近くに会議室を設置すると、会議室への移動がスムーズになります。さらに、業務内容に応じてゾーニングをし、集中して作業する執務エリアを静かな場所にまとめると、従業員は業務に集中しやすくなります。オフィスの設計を通じて生産性を高めるには、オフィスで生じる音の大きさや動線を考慮したレイアウトが重要です。こうした工夫を積み重ねると、会社全体の生産性が向上し、ビジネスの成長にもつながります。
2-4. 会社のブランドイメージが向上する
オフィスを計画的に設計し、会社の理念やメッセージを的確に伝えることができれば、会社のブランドイメージを向上できるでしょう。例えば、ロゴマークやコーポレートカラーを使い、会社のミッション・ビジョンを体現するデザインにすることで、訪問者からの信頼感や好感を効果的に醸成できます。
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オフィスを計画的に設計し、会社の理念やメッセージを的確に伝えることができれば、会社のブランドイメージを向上できるでしょう。例えば、ロゴマークやコーポレートカラーを使い、会社のミッション・ビジョンを体現するデザインにすることで、訪問者からの信頼感や好感を効果的に醸成できます。
3. オフィスの設計の具体的な手順
オフィスを計画的に設計し、快適な仕事環境をつくるためには、適切な手順で取り組むことが大切です。設計ミスを防ぎ、理想的なオフィスを実現させるための具体的な手順は下記のとおりです。

オフィス設計の具体的な7つの手順
3-1. 目的を明確にする
オフィスの設計の第一歩は、設計の目的を明確にすることです。現状の課題を洗い出し、理想のオフィスのビジョンを具体化しましょう。例えば、「コミュニケーションの活性化」や「ブランドイメージの向上」といった具体的な目標を掲げることで、以後のプロセスをスムーズに進めることができます。
3-2. 要件を整理する
目的を明確にした後は、具体的な設計要件を整理します。要件を整理するためには、社内の各部署へのヒアリングが必要です。執務スペースや席数、会議室、リフレッシュスペース、ロッカー、キャビネットなどがどれくらい必要かを確認し、特殊な設備の要望なども洗い出すことで、現実的かつ効率的なオフィス設計が可能となります。ヒアリングを通じて、これらを明確化しましょう。
3-3. オフィスのコンセプトを定める
要件を整理したら、次はオフィス全体のコンセプトを明確化します。デザインやレイアウトのコンセプトを決めることは、オフィス全体に一貫性のあるブランドイメージを構築するために非常に重要なプロセスです。
また、オフィス構築のすべてのフェーズにおいてぶれない指針とするためにも、コンセプトは簡潔で伝わりやすいものにすることをおすすめします。
3-4. 外部パートナーを選ぶ
コンセプトの設定と並行して行うのが、外部パートナーの選定です。オフィス設計は専門的な知識が必要なため、信頼できる外部パートナーを選定することが成功のカギとなります。コンセプトや設計要件を共有し、ゾーニングやレイアウト、施工管理まで一貫してサポートを受けることで、計画をスムーズに進行できます。
外部パートナーを選ぶ際は、これまでの実績や得意分野を確認し、自社の要望に合った提案ができるかを見極めることが重要です。
3-5. ゾーニングを検討する
外部パートナーが決まったら、具体的な設計をするためにゾーニングを検討します。オフィスのゾーニングは、働きやすさとセキュリティを両立させる大切なポイントです。執務エリア、会議室、リフレッシュスペースなど、用途に応じたゾーニングを行いましょう。特に、機密情報を扱うエリアでは、扱う情報レベルに応じてセキュリティを計画することが重要です。
3-6. レイアウトを決める
ゾーニングの次は、オフィスのレイアウトを具体的に決めていきます。デスクやキャビネットなどの配置に加え、勤怠管理システムやセキュリティシステムといった設備の位置も決める必要があります。レイアウトを決める際には、従業員が効率的に動けるよう、業務の流れにもとづいた動線設計を行うことが大切です。例えば、プリンターやコピー機などの共用設備は使用頻度に応じて配置し、業務中の移動を最小限に抑えます。
3-7. デザインを決める
最後に、オフィス全体のデザインを決定します。デザインには、最初に明確化した目的やコンセプトを反映しつつ、コーポレートカラーやロゴも効果的に取り入れ、企業イメージを高めるデザインを採用しましょう。
また、観葉植物などの自然要素を取り入れることで、従業員のリラックス効果を期待できます。
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4. エリア別・オフィスを設計する際に押さえておきたいポイント
オフィスづくりでは、ポイントを押さえて設計することが大切です。ここでは、オフィスの設計で押さえておきたいポイントを、エリア別に解説します。

オフィス設計で押さえておきたい6つのポイント
4-1. エントランス
エントランスは、オフィスの第一印象を決定付ける重要なエリアです。会社に対する印象を左右するだけでなく、従業員にとっても会社の価値観やブランドを体感できる空間となります。ロゴマークやコーポレートメッセージを掲示したり、清潔感のあるデザインを採用したりすることで、ブランドイメージを向上できるでしょう。
4-2. 執務エリア
執務エリアは、従業員が日常的に作業をする場所です。だからこそ、従業員にとって快適で、効率的に働ける場所にすることが大切といえるでしょう。業務内容に合わせて、デスクやキャビネットなどを配置することをおすすめします。
執務エリアのレイアウトには、主に下記のようなタイプがあります。
<執務エリアのレイアウトの主なタイプ>
- アイランド型:チーム単位で従業員の席を向かい合わせ、島のようなかたまりにするレイアウト
- 並列型:デスクが同じ方向になるように配置したレイアウト
- クロス型:デスクの向きが交差するように配置したレイアウト
- 背面対向型:従業員同士が背を向ける形にしたレイアウト
- 左右対向型:デスクがまっすぐ並び、列ごとで向きが反対になるレイアウト
- ブース型:パーティションなどで仕切られたスペース内で作業できるようにしたレイアウト
- グリッド型:作業スペースを格子状に区画し、デスクのかたまりをモジュールとして配置したレイアウト
4-3. 集中ブース
集中ブースは、従業員が一人で静かに作業を進めるための空間です。パーティションや防音素材を活用して、周囲の雑音を遮断することがポイントです。また、防音機能を備えたフォンブースを設置すれば、ウェブ会議に集中しやすくなります。
フォンブースについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
オフィスの音問題解決に。フォンブース導入のポイントをご紹介
4-4. 応接室・会議室
応接室と会議室は、業務に必要な話し合いをする場という点では共通していますが、その目的や利用シーンに応じて異なる設計が求められます。
応接室は、取引先などの来客を迎えるための空間であり、落ち着いた雰囲気と高級感を演出することが大切です。一方、会議室は現代の多様な働き方に対応するために、さまざまなタイプを用意することが重要です。ブレインストーミングルームや大規模なプレゼンテーションルーム、オンライン会議専用ルームなど、複数のタイプを用途に応じて用意するといいでしょう。また、利用効率を最大化するために、予約システムや稼働状況を可視化するシステムを導入するのも大切です。会議室のスケジュールをデジタル管理することで、無駄な空き時間を減らし、効率的に運用できます。
4-5. リフレッシュスペース
リフレッシュスペースは、従業員が休憩するための場所です。オフィスチェアとは異なる、ゆったりとくつろげるソファを置いたり、観葉植物を取り入れたりすることで、心身のリフレッシュを促す空間をつくれます。また、ウォーターサーバーやコーヒーサーバー、軽食コーナーを設けることで、従業員の健康維持をサポートできます。
4-6. 役員室・社長室
役員室や社長室は、経営の意思決定を行う重要なエリアです。機密情報を扱うことも多いため、防音性を持たせるほか、防犯カメラの設置、入退室管理システムによるセキュリティ強化なども考慮して設計することをおすすめします。
また、取引先を迎え入れることもあるため、家具やインテリアは重厚感や信頼感を意識して選び、落ち着いた雰囲気や高級感を持たせることが大切です。
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5. オフィスを設計する際の注意点
オフィスを設計する際には、いくつか押さえておきたい注意点があります。主な注意点は下記のとおりです。
5-1. 予算をオーバーしないよう、計画的に進める
オフィスの設計は、初期段階から予算を作成し、限られた予算の中で最大限の効果を発揮できるよう、計画的に進めることが重要です。予算オーバーしそうな場合は、「既存のオフィス家具や設備を活用する」「素材のグレードを下げてコストダウンする」など、工夫してみることをおすすめします。必要に応じて補助金を利用するのも効果的です。
5-2. 従業員の安全と健康を守るため、関連法規を順守する
オフィスを設計する際は、建築基準法や消防法、労働安全衛生法などの関連法規を確実に順守する必要があります。これを怠ると、従業員の安全面や健康面で支障が出てしまうリスクがあります。設計に取りかかる以前の段階から、外部パートナーのアドバイスを受けるのがおすすめです。
5-3. 機密情報を管理するためのセキュリティ対策をする
セキュリティ対策が不十分なオフィスでは、機密情報の漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。ゾーニングの段階で入退室管理システムを導入するなど、セキュリティを考慮することが大切です。
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6. オフィスの設計をサポートする外部パートナーの選び方
オフィスの設計を失敗させないためには、信頼できるパートナーを選ぶことが不可欠です。続いては、オフィスの設計をサポートしてくれる外部パートナーの選び方を解説しますので、参考にしてみてください。

オフィス設計をサポートする外部パートナーの選び方、3つのポイント
6-1. 得意としていることで選ぶ
外部パートナーが何を得意としているかは、外部パートナーを選ぶ際のポイントのひとつです。外部パートナーの中には、対応のスピードが強みである会社もあれば、デザイン力や設計の品質を強みとしている会社もあります。得意とすることは会社によって異なるため、パートナー選びの段階でしっかり確認しましょう。
6-2. 対応範囲で選ぶ
オフィス設計には、デザインだけでなく、プロジェクトマネジメント(PM)業務、レイアウト計画、施工管理、さらにはアフターサービスまで、多岐にわたる工程があります。そのため、外部パートナーを選ぶ際は、対応範囲の広さも確認することをおすすめします。オフィスプロジェクト全体を伴走してくれる会社を選べば、円滑な進行が期待できます。
6-3. 実績の豊富さで選ぶ
実績の豊富さで選ぶのも、外部パートナーの選び方の一つです。過去に手がけたプロジェクトの規模が自社のプロジェクトに合致しているか、難度の高いプロジェクトを手がけた実績があるかといったことを確認しましょう。ウェブサイトの事例などを確認するといいでしょう。
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7. 理想のオフィスを実現するため、自社に合った外部パートナーを選ぼう
オフィスの設計は、従業員が快適に働ける環境を整え、企業全体の成長を後押しする重要なプロセスです。オフィスの設計を、目的に沿って計画的に進めれば、従業員の満足度や生産性の向上といったメリットが得られます。
なお、オフィスの設計を上手に行うためには、外部パートナーとの協力が不可欠です。外部パートナーを選ぶ際は、得意としていることや対応範囲の広さ、実績などをよく確認し、理想のオフィスを実現してくれる会社を選びましょう。
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