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ABWとは?フリーアドレスとの違いやメリット・デメリットをご紹介

 

近年はコロナ禍をきっかけに、幅広い業界で多様な働き方が浸透しています。その中のひとつが、自由な環境で業務を行えるABWです。ABWはよくフリーアドレスと混同されることも多いですが、両者には明確な違いがあります。当記事ではABWとフリーアドレスの違い、そしてABWのメリット・デメリットを詳しく解説します。

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1. ABWとは、業務に応じて働く場所や時間を自由に選択できる働き方のこと

ABWとは「Activity Based Working」の略であり、従業員が自ら、業務内容に応じて場所や時間を自由に選択できる働き方を指します。業務内容やその日の気分によって環境を変えられるため、自ら選択することで最も効率よく作業ができるだけでなく、仕事へのモチベーションも維持しやすい人気のスタイルです。

元々はオランダのコンサルティング会社である「Veldhoen + Company」が提唱し、1996年頃より導入を進めたのが始まりと言われています。近年では大手企業を中心に、ABWを導入している会社も増えています。

 

2. ABWとフリーアドレスとの違いとは?

2-1. フリーアドレスはオフィス内の席を自由に選べるのに対し、ABWはオフィスに限定せず働く場所や時間を選べる

ABWと似た制度としてフリーアドレスがあります。フリーアドレスはオフィス内に固定席を設けず、各々が好きな場所で仕事ができる環境のことです。
一方、ABWは働く場所の選択肢はオフィスだけにとどまらず、カフェ・自宅・コワーキングスペースなど社内外を問わず働く「場所」を選択でき、さらには働く「時間」も自由に選べるという違いがあります。

ABWとフリーアドレスを比較した図

 

2-2. フリーアドレスはオフィス内の効率化に繋がるのに対し、ABWは働き方そのものの変革を促す

フリーアドレスはどちらかというと社内コミュニケーションの活性化や業務効率化に繋がるオフィス内のいち施策であるのに対して、ABWは働く場所や時間を選択できることで、より大きな枠組みで働き方の変革を促進し、制度や組織文化に影響する考え方であると言えます。

 

3. ABW導入による5つのメリット

では、ABWを実際に導入することで得られる5つのメリットとはどのようなものか、詳しくご説明します。

3-1. 目的に応じた働き方ができるため、生産性が向上する

効率的に働けると感じる環境は、人それぞれ異なります。

例えば
・カフェや飲食店などで作業するほうが集中できる人
・自宅など慣れ親しんだ環境が望ましい人
・周囲とコミュニケーションを取りながら作業したい人
など。

また、業務内容によって一人で集中したいとき、周囲と意見を出し合いながら作業したいときなどもあるでしょう。ABWであれば気分や目的に応じた環境での働き方が可能となるため、業務の品質・生産性の向上が期待できます。

3-2. 従業員の満足度とモチベーションUPに繋がる

ABWは従業員の働き方に対する選択肢を大きく広げる制度です。
場所・時間に縛られないという柔軟性は、従業員のワークライフバランスの向上と満足度・定着率向上に繋がりモチベーションUPにも効果的です。

3-3. 社内コラボレーションが促進され、イノベーションの機会を生む

働く場所はもちろん部門やフロアごとの垣根もなくなるため、異なる知識を持つ人同士がコミュニケーションを取ることで社内コラボレーションが促進されます。従来の固定席のオフィスでは交流の少なかった従業員同士が、多角的な視点からアイデアを出し合うことで、新たなイノベーションを生み出すきっかけになるのです。

3-4. 優秀な人材獲得の助けとなる

近年の採用市場において「働きやすさ」は大きな差別化ポイントです。
自由な環境、時間、場所で仕事ができるABWの導入など、求職者にとって働きやすい環境が整っていることは大きな魅力となります。
また求職者の居住地を問わず採用できるという点も、優秀な人材獲得という面では見逃せないポイントです。

3-5. スペース効率を見直すことでオフィスのランニングコストを削減できる

ABWを推進する中でオフィス内の執務席が見直され、従来の固定席のオフィス必要だった人数分のデスクやチェア等の設備を減らすことができるため、従来のフロアスペースよりも狭いフロアスペースに切り替え、賃料を抑えることができます。
また、フロアスペースを凝縮することで光熱費の削減にもつながるため、ABWの導入は全体的なランニングコストを削減につながるといえるでしょう。

参照元:ABWを導入したworkプレイスの環境満足度と作業効率(日本建築学会環境系論文集 第84巻 第765号)

 

4. ABW導入による3つのデメリット

多くのメリットがあるABWですが、下記のようなデメリットが生じる可能性もあります。導入前の検討材料として、押さえておきましょう。

4-1. 従業員のマネジメントの難易度が上がる

ABWでは従業員が様々な場所で業務をおこなうことになるため、社内マネジメントが難しくなります。労務・評価・進捗・社内コミュニケーションなどを含め、ABWでも対応できるよう管理体制を見直す必要が出てくるでしょう。
テレワーク環境に特化したWeb会議システム、社内のノウハウを共有できるナレッジマネジメントツールなどのツールを活用すると、効率的に管理体制を見直すことができます。

4-2. コミュニケーションの促進には運用面でも工夫が必要

従業員にABWの目的や意図が浸透していないと、コミュニケーションの促進がされない可能性が高くなります。
ABWを通じて幅広い環境・価値観と触れ合うことでイノベーションやアイデアを誕生させるためには、コミュニケーションに偏りが生じないよう、互いの交流が生まれやすいしかけをオフィス内に点在させたり、積極的にWeb会議システムやチャットツールを活用するなどの工夫が必要です。

4-3. 実現までにコストと時間がかかる

導入すればコスト削減や満足度向上が期待できるABW。しかし、ABWを実現するまでには、通信・設備・組織編成・評価制度・労務管理など、環境や体制の整備に時間と初期コストがかかります。

 

5. ABWの具体的な導入方法とは?

柔軟な働き方として歓迎されるABWですが、ただ闇雲に導入すればいいというものではありません。ABW導入による最大限の効果を得るためには、事前準備が大切です。ここからABW導入に伴う具体的な手順を解説します。

5-1. ABW導入の目的を明確にする

ABWは働き方の手段であって、導入すること自体が目的ではありません。ABWを通じて成し遂げたいことは、企業によってさまざまです。そのため、まずは「何のためにABWを導入したいのか」を明確にすることをおすすめします。

<目的の事例>
◆従業員の定着率・満足度を上げたい
◆社内コミュニケーションを活性化させたい
◆従業員の業務効率を向上したい
◆地域を問わず人材を獲得できるようにしたい

事前にこのような目標を定めておくことで、導入後に効果が得られているかどうかの判断もしやすくなります。

5-2. 自社の状況把握と調査をおこなう

目的が明確になったなら、次は自社の状況把握をおこないます。最初に行うべきは現場で働く従業員が現状に感じる不満や課題、実現してほしいニーズなどの調査です。
ABW導入に対する賛否はもちろん、取り入れてほしい要素など、幅広い側面から意見を集めましょう。経営層・従業員の両者が納得できる内容で導入することが重要です。

5-3. ABW導入に必要な施策やスケジュール・予算を明確にする

目的・現状の把握ができたら、導入に向けて具体的な施策やスケジュール・予算などを明確にしていきます。
ABWを行うためのインターネット環境、評価体制、運用方法、実施までの移行スケジュールといった要素をひとつずつ洗い出しましょう。オフィスレイアウトの改修などもおこなう場合は、通常業務への影響なども含めて予算やスケジュールを検討します。

5-4. 改善をしていきながら運用していく

導入してすぐの間は、色々な改善点が出てくるはずです。マネジメントの側面だけでなく、実際に働く従業員にもヒアリングやアンケートをおこないながら、定期的な改善を繰り返していきます。そうすることで、より従業員の要望に沿った導入が可能になるでしょう。

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6. ABW導入企業オフィス2事例

実際にABWを導入している企業のオフィス事例を2つご紹介します。
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6-1. 株式会社リクルート様

理由や回数を問わないリモートワークが導入され、自宅・サテライトオフィスなどから自分に合った場所を選択し働くことができるリクルート様。全5棟からなる築60年の大型ビルをリノベーションした九段下のオフィスでは、ABWの考え方に更に「チーム」を取り入れた、リクルート様独自の「TABW」(Team Activity Based Working )の考えのもと、チームで集まり、チームで働く場をオフィス内に多数充実させています。

ブレイクエリア

植物と家具の組み合わせで多様なシーンが作られたブレイクエリアでは、リフレッシュしながら業務を進めることができます。また業務の一方でお弁当を食べたり、休憩をしたりすることも可能。建物全体の中心となる場のため、人が集まりやすく気軽に従業員同士で話をしながら業務をすることも可能です。

ブレストエリア

数人でブレストしながら打ち合わせできるエリア。フレキシブルにレイアウトできるように軽くて移動しやすい家具で構成されているため、気軽に家具を移動して好きなレイアウトにすることができます。また、ホワイドボードには回転できるキャスターがついているため簡単に移動でき、ゆるやかにゾーンを分けることもできます。

タッチダウンスペース

打ち合わせ前後の短時間ワークに適したタッチダウンエリア。自席以外でPC作業などができるため、わざわざ自席に戻らなくてもミーティング前後等にちょっとした作業をおこなうのに便利です。壁面に浅く腰掛けられるような造作家具が取り付けられており、カジュアルな打ち合わせをすることも可能です。

詳しい記事はこちら▼
株式会社リクルート様 九段下オフィス

 

6-2. 株式会社GOOD PLACE

恵比寿に本社を置くGOOD PLACE。数年前から先行してノートPCの貸与、固定電話の廃止などテレワークに対応し、2019年の恵比寿移転時にABWの考え方を積極的に取り入れたオフィスを開設しました。現在は、オフィスはもちろん自宅やコワーキングスペース、カフェ等での業務も可能な体制にし、従業員の業務や状況に合わせた柔軟な働き方が可能になっています。

受付カウンターとカフェラウンジ

受付カウンターとビッグテーブルを一体化させたことで、移動前後に立ち寄って作業ができたり、従業員同士気軽に会話をしながら作業をおこなえます。窓側にはテーブル席があり、個人作業はもちろん、テーブルを合わせることでまとまっての作業も可能です。

ファミレスブース

少人数の会議・打合せや、テーブルに資料を広げて一緒に作業をおこなうことができるファミレスブース。背もたれが隣のブースとゆるやかに空間を区切り、思いのほかプライベート感を演出できます。目的に合わせて周囲の環境を選べるため、社員もモチベーション高く業務に集中することができます。

リフレッシュスペース

各階にリフレッシュスペースを設けており、隙間時間に休憩をとりながら作業をすることが可能です。併設されたキッチンでお茶を入れたりしながら、会話も生まれるエリアです。

詳しい記事はこちら▼
株式会社GOOD PLACE 本社オフィス

 

7. まとめ

ABWとフリーアドレスは、働き方の幅を広げる方法であるという点は共通していますが、得られる効果は大きく異なります。目的や状況によってどちらが適しているか、業務の生産性、社内ニーズなどさまざまな側面から十分な調査をおこない、自社に合った方法で改善していくことをおすすめします。ABWやフリーアドレスの導入に伴いオフィス移転やオフィスレイアウトの変更をご検討の際は、是非お気軽にお問い合わせください。

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