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健康経営のために注目されるサーカディアン照明のオフィス活用

生物の身体には、一定周期で刻まれる生体リズムがあります。一般的にいわれる「体内時計」も生体リズムのひとつです。その中でも24時間周期のものは「サーカディアンリズム」と呼ばれ、日常生活における体調やホルモンバランスに深く関係していると言われています。
このサーカディアンリズムの概念を照明に活用した「サーカディアン照明」があります。今回のコラムでは、サーカディアン照明について詳しくご紹介いたします。

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1.サーカディアンリズムとは日本語で概日リズムのこと

「サーカディアン」という言葉は、聞き慣れないという方も多いと思いますが、日本語に訳すと「概日リズム」のことで、語源はラテン語であり、ラテン語の「circa(サーカ)/約」と「dian(ディアン)/1日」が組み合わさった言葉です。
朝日が昇れば目が覚めて、暗い夜になれば眠くなるといった生理現象も、日中の光や夜の暗闇を感知し、脳や神経が相互に反応するという概日リズムの影響です。

 

2.人間の生体リズムに適したサーカディアン照明

多忙や夜間勤務などの理由から、不規則な生活リズムになっている方もいるでしょう。そのような方々でも、サーカディアンリズムを整えられるよう開発されたのが「サーカディアン照明」です。
サーカディアンリズムにもっとも影響を与えるのが「光」だと言われており、サーカディアン照明は人体の24時間~25時間の生体リズムに合わせた明るさを与えてくれます。
近年、このサーカディアン照明が健康経営のためのオフィス構築において注目を集めているのです。

 

3.オフィス環境でサーカディアン照明が注目される背景は健康経営

パソコン作業・打ち合わせ・会議など、多様な業務を行うオフィスワークにおいて照明は不可欠な存在です。一方、自然の明るさが入りにくい室内で長時間作業を行うオフィスワークは、サーカディアンリズムを狂わせストレスなど体調に悪影響を与える可能性も高くなります。

そんなときに効果を発揮するのが「サーカディアン照明」です。サーカディアン照明はLEDの自動調光と自動調色機能により、自然に近い明るさや色を演出します。オフィス内の環境を外の環境に近づけることにより、ストレスや疲労軽減の効果が期待できるという仕組みです。

多様な働き方が浸透した現代において、健康経営の視点からサーカディアン照明は多くの企業から注目を集めています。

 

4.サーカディアン照明がもたらすメリット

人間のサーカディアンリズムは24~25時間であるとされ、その時間のなかで外部からの様々な刺激を受けて、脳や神経が相互に作用しています。生体リズムを考慮して快適な環境をつくるためには、日中は高照度高色温度に、夜間は低照度低色温度にすることが基本的な考え方です。それを実現するためにサーカディアン照明を活用します。

オフィスの照明をサーカディアン照明に変更すると、下記のようなメリットが期待できます。

4-1.脳の疲労を軽減することができる

サーカディアン照明は人体のメカニズムに沿った色温度、照度を演出するため、通常の照明と比べると脳への負担・疲労を軽減する効果があります。脳の疲労が軽減することでケアレスミスが減少し、業務品質の向上も期待できるでしょう。

4-2.従業員の生産性向上が期待できる

本来、正しいサーカディアンリズムに則った生活をするのであれば、朝に起きて日光を浴び、夕方から夜にかけて食事や入浴などを行い、規則正しい時間に眠るというのが理想的です。逆に日の沈んだ夜間に業務を行い、蛍光灯の光を浴びていると、ホルモンのバランスがくずれ、睡眠に影響を及ぼす可能性があります。
理想的なスケジュールで日々を過ごせれば問題ありませんが、実際は難しい方のほうが多いでしょう。こうした課題においてサーカディアン照明を導入すれば、室内にいても健康的な体内リズムを再現できるようになります。
サーカディアンリズムに則った明るさ・色味を演出することで、従業員の体内時計を整え、夜の睡眠の質を改善するなど総合的な健康サポートが可能です。睡眠の質が改善すれば社員のパフォーマンスも上がり、結果として生産性向上につながるのではないかと関心が集まっています。

4-3.省エネにつながる

外からの光が入る時間帯は明るさを制御したり、午後から夕方にかけて除々に照度・色温度を下げていき、夜間は低照度・低色温度の光にするなど、サーカディアンリズムに配慮することは省エネにも繋がります。

参考:特集 照明制御の最新動向(省エネ~光環境の演出,及び新光源の制御の動向)9(国立研究開発法人科学技術振興機構)

参考:特集 最近の照明設備の制御と事例 8(国立研究開発法人科学技術振興機構)

 

5.サーカディアン照明のデメリット

多くのメリットがある一方、サーカディアン照明を導入するまでにはいくつかの課題やデメリットもあります。

5-1.導入のコストがかかる

サーカディアン照明を導入し十分な効果を得るためには、照明本体のほかオフィスの設計などのコストがかかります。長期的に使い続ければ費用対効果を得られるのは間違いありませんが、初期費用は発生するため注意が必要です。

5-2.設計の難易度が高い

人間の生体リズムに合わせて光を調整・調色する必要があるため、設置する位置や光の当たり方なども含めて設計を考えなければなりません。既存の照明を取り換えればいいというわけではないため、導入には専門家やプロのサポートが必須となります。

実際に導入を検討されるのであれば、オフィス移転・オフィス構築のノウハウを持ち、サーカディアン照明の導入実績を持つ専門業者に相談することをおすすめします。

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5-3.導入効果が測りづらい

サーカディアン照明のメリットは生産性や快適性といった数値化しにくい効果のため、明確な導入効果が見えづらいものです。
初期費用をかけて導入するのですから、費用対効果として判断したいという企業様も少なくないでしょう。しかし、サーカディアン照明はオフィス内の光を通じて、健康や体調にアプローチするものなので、数字やコストといった費用対効果が測りにくい設備です。

 

6.サーカディアン照明の取り入れ方

 

時間帯によって照度を変えるという習慣や考え方が根付いていないため、生体リズムに深い関わりと影響を与える「光」や「照度」に意識を向けているのは一部の先進的な企業に限られています。
しかし、近い将来には健康経営の要素のひとつとして、より多くの企業がサーカディアン照明に注目する日もやってくるでしょう。

6-1.夜間勤務のある職場で採用されはじめたサーカディアン照明

サーカディアン照明は元々、夜間勤務のある職場で働く人々のために考案されたものです。例えば電力・ガス・医療機関・通信・交通など、社会のインフラを支える場所では24時間体制での勤務が求められます。

しかし、人の身体は夜に近づくほど眠気が強くなる生体リズムであるため、深夜帯に働く人ほど眠気からミスが発生しやすくなります。体内時計が狂うことで免疫力が低下し病気になるリスクも高くなるなど、深夜勤務は日勤に比べて生活リズムを整えることが難しい傾向にあります。

こうした体内リズムの変調を、照明で調整するために開発されたのがサーカディアン照明です。アメリカの発電所に初めて導入されてから、NASA・原子力発電所などが続きます。日本国内では関西電力、神戸給電所、大阪発電所などがサーカディアン照明を導入しているそうです。

参考::サーカディアン リズム ・ライティング ・システムを知っていますか?(国立研究開発法人科学技術振興機構)

6-2.日中は高照度高色温度、夜間は低照度低温度

一般的な照度基準として、JISが推奨している「事務室」の明るさは750lx(ルクス)です。
照度が下がるほど覚醒度も下がるとされており、時間帯に応じた適切な明るさを保つことが重要です。

サーカディアン照明の一般論としては、覚醒したい日中は高照度高色温度として750lxの昼光色、夜間は400lxの低照度低色温度に落とすことで、夜の睡眠への悪影響を抑えることができるといわれています。

6-3.オフィスでの導入事例

2021年3月にオープンした株式会社リクルートの新オフィスに、サーカディアン照明が導入されました。

部屋ごとにCO2センサーの設置、サーカディアン照明を導入することでCO2濃度から照度に至るまでが管理できる、健康経営の先陣を切ったオフィスを構築されています。

サーカディアン照明の導入事例オフィスの詳細については、下記のコラムをご覧ください。

【INTERVIEWS #9-4】
九段坂サステナブルプロジェクトが提言するNEWオフィススタンダード

 

7.まとめ:出社したくなる環境づくりにサーカディアン照明

光は私たちが無意識に感知し、日々影響を受けている刺激のひとつです。洗練されたデザイン・設計・導線など、社員が「出社したくなるオフィスづくり」は、これからの社会で必要不可欠な戦略となってくるでしょう。

健康経営を含め、快適なオフィス構築を目指すのであれば、ぜひサーカディアン照明の導入を検討してみてください。

 

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