総務なら知っておくべき法知識 オフィスに関わる法律の基礎
今回のコラムでは、オフィスレイアウトを考える際に、総務として最低限知っておくべき法律の知識をご紹介いたします。
新人の方は、基礎知識の蓄えとして。もう十分に知っているという方も、確認のために、ぜひご一読くださいませ!
目次
1. 建築基準法&消防法
オフィスレイアウトを考える際に必要となってくる様々な法律は、災害などの有事の際に、その被害を最小限にできるよう定められたものです。万が一の際に備えて、きちんと理解しておきましょう。
また、建築基準法は書いてあることを守れば良いのに対し、消防法は最低限の基準を定めてあるだけなので、条文をクリアすれば良いというものではありません。必要に応じて所轄の消防署が指導を行うことになっています。
条文のクリアだけに留まらず、所轄の消防署に相談・確認の上、オフィスの安全を図ることが重要となるのです。
では、レイアウトなど、オフィスの設計&運用を考える際、建築基準法と消防法がどのように関わってくるか触れていきます。
ポイントとしては1-1.『間仕切り・パーテーション』1-2.『消火・排煙構造』1-3.『廊下(通路)の幅と非常階段までの距離』の3つです。
1-1. 間仕切り・パーテーション
「間仕切り・パーテーション」をどのように配置するのかで、オフィスのレイアウトは大きく変わってきます。実は、その間仕切り・パーテーションを設置する際には、状況によって消防署への届出が必要になる場合がございます。
新しくビルに入居する際はもちろんのこと、レイアウトの変更を行い、新しく「天井までの間仕切り」を建てた場合は「部屋」とみなされるので届出が必要です。
届出を行わないと、違反となってしまうので注意が必要です。
1-2. 消防設備
続いて必要となってくるのが、「消火・排煙できる構造」になっているかどうかです。
1-1. でもお伝えしたとおり、間仕切りを天井まで設置すると、それぞれが「部屋」とみなされるため、消火活動に必要なスプリンクラーや火災感知器などの消防設備を増設する必要があります。
加えて、火災が発生してしまった際のために、床面積500㎡以内ごとに、排煙設備を設置する必要があります。
排煙の方式は
1.排煙口が直接外気に接する自然排煙設備
2.排煙口を排煙風道に直結させる機械排煙設備
の2種類があり、オフィス構造の状況によって、条件は異なりますが、各部屋の排煙口より一番遠い位置から、30m以内に設置するのが一般的となっております。(※下図を参照)
間仕切りを設置したことで排煙窓のないスペースができてしまったり、消防設備の増設を怠ってしまう、違反となってしまうので注意が必要です。
1-3. 廊下(通路)の幅と避難経路の確保
続いて考慮しなければならないのが、廊下(通路)の幅を確保することです。
廊下(通路)の両側に部屋がある場合は、1.6m以上、片側のみの場合は、1.2m以上の幅を確保することが定められていますので、この幅は遵守しましょう。(※下図1を参照)
また、条件によって距離は若干変わりますが、窓のある部屋からの避難階段までの距離を14階以下で60m以内、15階以上で50m以内に、また、窓の無い部屋の場合は、14階以下で40m以内、15階以上で30m以内にする必要があります。 (※下図2を参照)
※消防法 全文はこちら:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000186
※建築基準法 全文はこちら:
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201_20230616_505AC0000000063
※図1
※図2
2. 労働安全衛生法
労働安全衛生法とは、かつて、労働基準法に示されていた「労働者の安全と衛生について」が分離独立させて作られた法律で、
職場における労働者の安全と健康を確保すること、そして、快適な職場環境の形成と促進を目的とする法律です。
しかし、快適な職場とはいったいどのようなものなのでしょうか?
平成4年 労働省告示第59号の「快適職場指針」では、次の4つの視点から措置を講じることが望ましいとされています。
2-1. 作業環境
不快と感じることがないよう、空気の汚れ、臭気、温度等の作業環境を適切に維持管理すること。
例えば、空気にも1人あたりの適切な量『気積』があり、常時就業する部屋の気積は、1人の労働者あたり10㎥以上と定められています。
従業員数と、オフィスの広さを考慮しこの数値を下回らないよう、設計する必要があります。
加えて、不快と感じることがないよう、加湿/除湿器や空気清浄機、そして、換気を行い、きれいな空気の中で業務が出来るように勤めることが必要です。その他にも、「騒音」「視線」など、人がストレスを感じやすい要因を排除することも必要です。
2-2. 作業方法
心身の負担を軽減するため、相当の筋力を必要とする作業等について、作業方法を改善すること。
立ち作業や、力仕事を多く行う社員がいる際は、こまめに休憩の取れる仕組みや、軽く腰をかけられるような設備、寝転ぶことのできる休養室など、肉体を休ませることのできる設備を整えることも必要です。
2-3. 疲労回復支援施設
疲労やストレスを効果的に癒すことのできる休憩室等を設置・整備すること。
オフィスに自動販売機やコーヒーメーカなどを設置している企業も少なくないと思います。
例えば、そのスペースの傍らにちょっとした机やソファーを置くなどすれば、立派な休憩スペースとなります。
また、最近では「卓球・ジムエリア」や「カフェスペース・図書室・シアタールーム」など、の遊び要素を取り入れる企業様も増えてきています。
2-4. 職場生活支援施設
洗面所、トイレ等職場生活で必要となる施設等を清潔で使いやすい状態にしておくこと。
トイレはきちんと男女別になっているか、ごみが散乱していないか、においはないか、など、オフィスビルを選ぶときには、共有スペースにも注目してみましょう。
もし、今のオフィスが「あまり・・・」ということであれば、例えば『美化週間』などと銘打ち、「自分たちできれいに保つ」という意識を従業員に植え付けることも必要な取り組みです。
事務所衛生基準規則 全文はこちら:
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000043_20221201_503M60000100188
3.まとめ
いかがでしたか?
今回は、オフィスレイアウトを考える際に必要な法律知識の一部をご紹介いたしました。
オフィスを作る際には、この他にも様々な決まり・法律に則って進めていかなければなりません。
もし、皆様の中で、オフィスレイアウトに関して、お悩みのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
様々なオフィスを作り上げてきた、GOOD PLACEのコンサルタントと一緒に、御社にあったオフィスを作り上げていきませんか?