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注目が高まるウェルビーイングの考え方とは?企業で導入する方法や事例をご紹介

社会における企業の在り方や労働者のワークライフバランスが注目される現代において、重要とされる考え方が「ウェルビーイング」です。今回の記事では従業員満足度や人材の定着率・組織のブランディングなど、経営指針にも深く関わるウェルビーイングについて、詳しく解説します。
ウェルビーイングの考え方を取り入れたオフィス事例集など、役立つ資料のダウンロードはこちら

目次

1. ウェルビーイングの意味や効果とは?

1-1. ウェルビーイングとは、身体的・精神的に良好な状態をあらわす

ウェルビーイングとは、1948年に効力が発生した世界保健機関憲章(WHO)の前文で述べられた健康についての定義の中に出てくる言葉です。
「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱な状況が存在しないということではない」”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.” この「良好な状態」を言い表した言葉がウェルビーイング(well-being)です。すなわち、身体的にも精神的にも満たされた良好な状態を意味しています。

参考:公益社団法人 日本WHO協会(世界保健機関(WHO)憲章とは)

1-2. ウェルビーイングは4つの因子で構成される

ウェルビーイングの定義は身体的にも精神的にも満たされた状態だとした場合、どのような原因(因子)があるとウェルビーイングの状態を実現できるのでしょうか?
慶応義塾大学でウェルビーイングを研究する前野氏が、幸せを感じる心的要因についての87個の質問を1500人の日本人に対して行い、回答内容を因子分析しました。その分析結果をまとめたものが幸せの4つの因子です。

第1因子 自己実現と成長:目標を達成したり、目指すべき目標を持ち学習・成長していること
第2因子 つながりと感謝:多様な他者とのつながりを持ち、他人に感謝する傾向、他人に親切にする傾向が高いこと
第3因子 まえむきと楽観:ポジティブ・前向きに物事を捉え細かいことを気にしない傾向が強いこと
第4因子 独立とマイペース:自分の考えが明確で人の目を気にしない傾向が強いこと

これら4つの因子を満たすように心がけていると、ウェルビーイングの状態に近づけると考えられています。

参考:J-STAGE (幸せのダイナミクスとデザイン前野 隆司)
引用:主観的幸福の 4 因子モデルに基づく人と地域の活性化分析(地域活性研究 Vol. 5(2014 年3月)研究論文)

2. ウェルビーイングが注目される4つの背景

現代においてウェルビーイングが注目されるようになった背景には、次のような社会的変化が挙げられます。

2-1. 物質的な豊かさから精神的な豊かさへの価値観の変遷があった

これまで日本の経済的成長や生活の豊かさはGDPを基準に考えられてきました。しかしGDPは本来国内総生産を測るための指標で、生活の豊かさや満足度を示すものではありません。そのためモノや経済を測る基準では国民の幸福度や精神的豊かさを測るには不十分であるという議論が行われ、より良い社会を創るため、人々の幸福度を測る指標としてウェルビーイングが注目されるようになったのです。

2-2. 多様性を認める社会が台頭してきた

現代社会では多種多様な民族・国籍・宗教・考え方・志向などを持つ人々が存在することをお互いが認め合い、価値観の多様化も進んでいます。比例して人々が仕事や労働環境に求める内容も変化し、より柔軟な社会が強く求められるようになりました。
こうした多様性を認める企業・社会の軸とする考え方として、個々の価値観に寄り添えるウェルビーイングが注目されています。

2-3. 働き方の変化が求められている

コロナ禍を機に、健康経営の一環であるウェルビーイングがより注目を集める結果を生みました。加えて政府の働き方改革推進により、リモートワークやハイブリッドワークが浸透したことにより、働き方に対する認識も変化し、ワークライフバランスを重視できるなど、労働者が主体的に就業環境を選べる社会が求められるようになりました。この「働き方が選べる」という要素は、ウェルビーイング向上要素のひとつでもあります。

2-4. SDGsの目標の一つに掲げられている

世界共通目標として掲げられる「SDGs」とウェルビーイングには、深い関連があります。
というのもSDGsで掲げられる目標は「3.すべての人に健康と福祉を」や「5.ジェンダー平等を実現しよう」など、個人や社会がウェルビーイングを得るために不可欠な内容で構成されているためです。SDGsが目指す価値基準がウェルビーイングそのものと言ってもいいでしょう。

3. 企業がウェルビーイングを取り入れる4つのメリット

企業が経営方針にウェルビーイングを取り入れることで、多くのメリットが期待できます。そのなかで代表的なメリットは下記の4つです。

3-1. 従業員の満足度が向上し、エンゲージメントや生産性があがる

働き方や待遇・福利厚生などウェルビーイングを取り入れると、従業員の満足度向上に繋がります。従業員が働きがいをもっていきいきと働く環境を整えた結果、モチベーションと同時に組織へのエンゲージメントや生産性向上にも効果的です。

3-2. 健康経営に繋がり、企業価値を高めることができる

従業員の身体的・精神的な健康を保つという意味でも、ウェルビーイングは企業にメリットをもたらします。
こうした健康経営の取り組みを社会に公開すれば、人的資本を大切にする企業としてブランディングに直結します。売上・人材確保・資金調達など多角的な側面から多くのメリットが期待できるでしょう。

3-3. 離職率の低下や、人材獲得の助けになる

一般的に離職・転職の主な理由は「人間関係に問題がある」「ワークライフバランスが取れない」「仕事へのやりがいがない」などです。
ウェルビーイングで働きやすい環境づくりを実現すれば、こうした問題が発生しづらくなり、自然と離職率が低下し人材獲得のチャンスも多くなります。

3-4. 企業単位の取り組みが社会全体への良い影響へと波及する

各社がウェルビーイングに取り組むようになれば、その動向や価値観は他の企業へも影響を及ぼし、ゆくゆくは社会全体へと広がっていきます。ウェルビーイングを推進する企業が増えれば増えるほど影響は相乗的に加速し、社会の好循環へと繋がっていくでしょう。

4. ウェルビーイングの3つの導入方法

実際にウェルビーイングを導入するための具体的な方法は3つあります。
・フレックス制やリモートワークなど柔軟な働き方を導入する
・心身ともに健康的に働けるオフィスづくりをおこなう
・福利厚生を充実させる
それぞれ、詳しくみていきましょう。

4-1. フレックス制やリモートワークなど柔軟な働き方を導入する

時間や場所に縛られない働き方は、従業員一人ひとりのモチベーションアップやワークライフバランスの両立に繋がります。子育て・介護など個々の事情に合わせて働ける柔軟な体制は、環境に対する大きな充実感を与えるでしょう。

4-2. 心身ともに健康的に働けるオフィスづくりをおこなう

ウェルビーイングの体制を整える際に重要なのがオフィスづくりです。オフィスは仕事をする場所として長い時間を過ごし、さまざまな人と接します。仕事への満足感を得るためには柔軟な勤務体制や福利厚生・待遇だけでなく、社内の人間関係も含め、心身ともに健康的に働ける環境づくりが大切です。

4-2-1. ABWを導入し、働き方を自由に選択できるオフィスにする

従業員が主体的に働き方を選べる環境は、ウェルビーイングになる要素の一つです。この観点から見れば、執務を行う場所・時間を自由に選択できるABWオフィスは、ウェルビーイングに配慮した勤務体制だと言えます。
※ABWオフィスの導入方法やメリット・デメリットについては、下記のコラムで詳しく解説しています。

【関連コラム】
ABWとは?フリーアドレスとの違いやメリット・デメリットをご紹介

4-2-2. バイオフィリックの考え方を取り入れ、緑豊かなオフィスにする

バイオフィリックは、1984年にアメリカの生物学者エドワード・O・ウィルソンが提唱した「人は本能的に緑や自然を求めている」という概念「バイオフィリア」から生まれた言葉です。
オフィスの緑化を行うことで自然を感じさせ、精神的な豊さを生むという研究結果も数多く報告されています。オフィス内に緑を増やしバイオフィリックデザインを施すことで、視覚を通じて幸福度を向上させる効果が期待できます。

4-2-3. サーカディアン照明を導入し、生体リズムを整えるオフィスにする

人間の脳や生体リズムに合わせて調光するサーカディアン照明を導入するのも、ウェルビーイングの推進におすすめです。サーカディアンは「概日リズム」を意味します。語源はラテン語であり、ラテン語の「circa(サーカ)/約」と「dian(ディアン)/1日」が組み合わさった言葉です。
※サーカディアン照明の導入方法やメリット・デメリットについては、下記のコラムで詳しく解説しています。

【関連コラム】
健康経営のために注目されるサーカディアン照明のオフィス活用

4-2-4. ライブラリーやジムスペースを導入し、心身の栄養を得られるオフィスにする

社内ライブラリー(図書館)やジムなど、運動や勉学を通じて心身をリフレッシュできる空間の導入もおすすめです。
日々の業務の息抜きになるのはもちろん、従業員が出社する楽しみとなり、仕事の充実感を加速させてくれます。また読書やトレーニングを介して社内コミュニケーションが発生するため、社内の活性化も期待できるでしょう。

4-2-5. コミュニケーションエリアを設け、人との繋がりを感じられるオフィスにする

ウェルビーイングには良好な人間関係が不可欠です。ミニキッチンや人が集まるカウンターをもうけたコミュニケーションエリアをつくることで、オフィス内で手軽な会話が楽しむことができ、社員同士の交流が増え、帰属意識も高まって人との繋がりを強く実感できるようになります。

4-3. 福利厚生を充実させる

各種制度や研修など福利厚生を充実させることで、組織への満足度が向上しウェルビーイングを実現しやすくなります。代表的な福利厚生は次の通りです。

4-3-1. 住居・通勤に関する福利厚生

家賃補助や社宅、通勤手当など住居・通勤に関わる代表的な福利厚生です。その他に住宅ローン返済の一部支援といった方法もあります。

4-3-2. 休暇制度に関する福利厚生

福利厚生として人気なのが休日・休暇に関わるものでしょう。GW休暇、夏季休暇、誕生日休暇、リフレッシュ休暇などが代表的です。その他にもつわり休暇、ボランティア休暇といった休暇制度を設けている企業もあります。

4-3-3. 医療やメンタルヘルスに関する福利厚生

ウェルビーイングは「心身・社会的な健康」が前提となるため、医療やメンタルヘルスに関わる福利厚生も大切です。事例としては、定期健康診断、予防接種、ストレスケアといった制度が挙げられます。

4-3-4. 介護や育児に関する福利厚生

育児や介護と仕事を両立したいという人も少なくありません。そうした人に向けた福利厚生として、育児休暇・産前産後休暇をはじめ育児・介護のための時短勤務や時差出勤制度などがあります。

4-3-5. リフレッシュやレジャーに関する福利厚生

仕事のストレスや疲れを癒しリフレッシュするための福利厚生です。会社で契約しているホテルや旅館、レジャー施設の割引・無料利用ができることなどが挙げられます。

上記のほかにもユニークな福利厚生を導入している企業は数多く存在しています。実際の事例については下記のコラムでご紹介しているので、興味がある方はぜひご覧ください。

【関連コラム】
社員満足度アップに繋がるユニークな福利厚生をご紹介

5. ウェルビーイングの考え方を積極的に導入している企業例

最後に経営方針において、ウェルビーイングの考え方を積極的に実践している企業を3社ご紹介いたします。

5-1. ポーラ

化粧品・スキンケア事業を展開するポーラでは「美と健康を願う人々及び社会の永続的幸福を実現する」を企業理念として、ウェルビーイングの考え方を採用している企業です。同社は幸せ研究所と呼ばれる機関を開設し、美と幸福度の関連や要素など独自の研究・調査を行いウェルビーイングを追求しています。
参考:POLA 幸せ研究所

5-2. LIFULL

株式会社LIFULLでは「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを掲げ、健康への取り組みとして社員が内発的動機に基づいてセルフケアができるような支援をおこなっています。
専門家から様々な知見を得られるセミナーを開催したり、社員のウェルビーイング状態を把握するためにサーベイを月に一度実施したりするなどして社員の人生の充実のための支援をしています。
参考:株式会社LIFULL

5-3. 日清食品

日清食品はグループ全体でウェルビーイングの考え方を推進しており、2018年8月には「日進食品グループ健康経営宣言」を策定。具体的な施策や推進体制を公表しました。

充実した健康診断、24時間体制の相談窓口の設置、健康経営戦略マップ、産業保険体制の強化など、明確な取り組み内容を構築しています。
参考NISSIN GROUP 健康経営

6. まとめ

ウェルビーイングは今後の社会では不可欠となる考え方です。従業員のウェルビーイングが促進されると、自身の満足度が高まり結果として企業としての強みや一体感も深まります。今後のオフィスづくりを検討する際にも、是非ウェルビーイングに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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