株式会社コスモスモアは、2024年1月8日に「株式会社GOOD PLACE」に社名を変更いたしました。 詳細はこちら×

ハイブリッドワークとは?導入企業事例や課題、成功させるポイントを解説

ハイブリッドワークをしている従業員

テレワークとオフィスワークを組み合わせておこなう「ハイブリッドワーク」が着実に社会に普及しつつあることをご存じでしょうか。

内閣府が令和5年におこなった「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、コロナ禍以前にあたる2019年12月時点の東京23区でのテレワーク実施率はわずか17.8%だったのに対して、2023年3月には51.6%にまで上昇しています。

一方で、徐々に新型コロナウイルス流行前の働き方へ戻す企業も多くあります。

株式会社ネクストレベルが運営する「ミライのお仕事」が実施したアンケートによると、フル出社している人の割合はコロナ禍の時代と比べ約4倍に増えているそうです。つまり、新型コロナウイルスが感染症法上5類に移行されてから多くの企業は、新型コロナ前に近い働き方に戻る傾向もうかがえ「オフィス回帰」が進んでいるとも見て取れます。

参考:株式会社ネクストレベル(ミライのお仕事 【アフターコロナの働き方調査】フル出社が4倍に増加し、満足度は低下傾向に)

 

今回のコラムではハイブリッドワークの導入メリットやデメリット、構築のポイントなどについて詳しくご紹介します。実際の導入事例もいくつか取り上げているので、ハイブリッドワーク導入をご検討中であれば、ぜひご参考になさってください。
オフィス事例集など、オフィス構築に役立つ資料のダウンロードはこちら

参考:第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査/内閣府

参考:帝国データバンク 新型コロナ「5類」移行時の働き方の変化に関する実態調査

 

1.ハイブリッドワークとは?

近年、働き方も時間の使い方も大きく変化し、テレワークが普及してからは、働く場所もオフィスだけでなく自宅やカフェ、コワーキングスペースなど選択肢が広がりました。
そんな中、最近よく耳にするのが「ハイブリッドワーク」という働き方です。

ハイブリッドワークとは一体どのような働き方なのでしょうか。 こちらの章で解説していきます。

1-1. ハイブリッドワークは英語で「Hybrid work」

ハイブリッドワークは英語表記だと「Hybrid work」と書きます。
「ハイブリット」と「ハイブリッド」のどちらが正しいのかと悩まれる方もいるかもしれませんが、”組み合わせる”という意味を持つ「Hybrid」の英語表記の末尾は「t」ではなく「d」であることから、正しい読み方は「ハイブリッド」であると考えられます。

1-2. ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方のこと

オフィスに出社・勤務するオフィスワーク、自宅や外出先・サテライトオフィスなどオフィス以外のところで勤務するテレワークやリモートワークなど、働き方改革の浸透により従来とは比較できないほど多彩な働き方が誕生しました。

この中でハイブリッドワークは「オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方」のことを指し、業務内容に応じて働く場所を変えられるため、より効率的かつ柔軟に勤務体制を構築できるのが特徴です。

1-3. ハイブリッドワークとテレワークの違いは出社の有無

ハイブリッドワークとテレワークは、どちらも昨今の働き方の多様化に伴い注目されている働き方ですが、違いとしては出社があるかどうかがポイントになります。

テレワークは従業員が自宅やサテライトオフィスなどオフィス以外の場所で勤務することを指します。これは、従業員が好きな場所を選んで柔軟に業務を遂行することを可能にしますが、同時にオフィスのコミュニケーションやチームビルディングの側面で課題が生じることがあります。
一方でハイブリッドワークは、テレワークとオフィスワークの両方を組み合わせておこなう働き方です。これにより、従業員は必要に応じてオフィスで上司やチームメンバーと対面で働きながら、同時に自宅などのリモート環境からも業務を遂行することができます。

 

2.ハイブリッドワークの課題とデメリット

柔軟な働き方を実現できるハイブリッドワークですが、解消すべき課題・デメリットもいくつかあります。
その代表的な部分をご紹介します。

2-1. (1)コミュニケーションの課題

テレワークと出社勤務のうち、テレワークの頻度が高くなると社内コミュニケーションの低下が懸念されます。気軽な相談・報告などもチャットや画面越しの交流が主体となってしまい、社内コミュニケーションの不足からストレスの原因になる可能性もあります。組織としての一体感が離れてしまい、孤独感を抱くことにもつながりかねません。

2-2. (2)業務効率の低下

在宅などのテレワーク環境下では集中力の継続が難しく、業務効率の低下に繋がる恐れがあります。また、ハイブリッドワークを導入している企業では、一方はオフィスワーク、もう一方はテレワークなどと打ち合わせをするだけでも異なる働き方をしている従業員が多く見られます。

ストレスなく業務を遂行できる通信環境のオフィスに比べると、テレワークは通信環境によって電波が悪い場合があり、打ち合わせをしていてスムーズにやり取りができないなどビデオ通話によるコミュニケーションの質には限界があります。さらに、対面で常に仕事ができるオフィスワークに比べて、ハイブリッドワークはプロジェクト進行やタスク管理が困難になってしまう場合もあります。

2-3. (3)勤怠管理・評価の困難性

ハイブリッドワーク環境下では、常に同じ空間で業務をおこなわないため、勤怠や評価の管理が難しくなります。プライベートと業務の境界線が曖昧となり、労働過多になってしまうリスクが出るだけでなく、動きが見えやすい出社する人としない人に評価の差が生まれてしまうなど、公平性の面でも課題も上げられます。

2-4. (4)情報セキュリティの脆弱性

従業員が異なる場所でフレキシブルに業務を遂行することは多くの利点がありますが、同時に情報セキュリティにおける懸念事項も浮上します。従業員が自宅やカフェなどの公共の場で業務をおこなう場合、通信経路や端末のセキュリティの確保が難しくなります。Wi-Fiの利用や外部からのアクセス機会が増加することで、機密情報が不正アクセスや盗聴のリスクにさらされる可能性が高まります。

また、ハイブリッドワークではテレワークを織り交ぜることで社内データを外部に持ち出すことになるため、顧客情報や機密情報などの情報が外部に流出する危険性が高まることも大きな課題のひとつです。貸与PCやスマホの盗難・紛失などのリスクも潜んでいます。

 

3.ハイブリッドワークのメリット

解消すべきリスクや課題は残りますが、ハイブリッドワークには従業員や会社にそれ以上のメリットもあります。

3-1. (1)生産性の向上が期待できる 

オフィス・自宅・サテライトオフィスなど、従業員がもっとも生産的であると感じ集中できる環境を自ら選べるため、より効率的かつ生産性の高い業務進行を実現できます。気分や当日の業務内容によって働く場所を選べるのは、従業員にとっても大きな魅力です。

3-2. (2)従業員のモチベーションアップ

テレワークとオフィス勤務の選択肢があることで、子育てや介護など個々人の状況に合わせたワークライフバランスのとれた働き方ができることは従業員の働きやすさに繋がります。

また、個々のスケジュール管理なども自発的に行うようになり、従業員の自立性向上も期待できるほか、社員満足度向上による定着率アップにも貢献できるでしょう。

3-3. (3)オフィスの省スペース化によるコスト削減

ハイブリッドワークを取り入れることでこれまでのように全ての従業員が同時にオフィスに出社する必要がないため、必要なスペースを最適化することが可能です。

また、オフィスの省スペース化はテナント費用をはじめ、水道光熱費、設備費用など多くのランニングコストを削減することができます。

3-4. (4)人材確保がしやすくなる

ハイブリッドワークを導入することで、勤務地や採用活動地など地理的な制約が軽減され、企業は全国規模で、各地の優秀な人材確保がしやすくなります。

また、柔軟な働き方や居住地に依存せずに仕事ができる就業環境を求める求職者に対しての差別化にも効果的で、これにより企業は人材の多様性を尊重し、優秀な個人を迎え入れやすくなりました。

 

4.ハイブリッドワークを成功させるオフィス環境とは

ノートパソコンで仕事をする従業員

オフィスとリモートのメリットを結合し、効率的かつ柔軟な働き方を促進するハイブリッドワーク。
ハイブリッドワークを成功させるオフィス環境とは一体どういった工夫がなされているのでしょうか。導入を決めたとしても、闇雲にスタートさせるのではなく、ハイブリッドワークの効果を最大限得るためには、事前の準備と十分な体制づくりが大切です。

4-1. ハイブリッドワーク運用のルール作り

ハイブリッドワークを導入する前に、運用に伴うルールを明確に定めておく必要があります。従業員によって出社日が異なるため、出社人数がオフィスのデスクのキャパシティーを越えないように調整するなどハイブリッドワークはならではの調整が必要になります。出勤日数や時間・曜日など、各従業員にある程度の裁量を持たせた上で策定すれば、柔軟な環境を構築することができます。

また、始業時間や終業時間・休憩時間などの勤怠管理はもちろん、通勤手当の支給をどうするかなど細かな規定なども検討しておくようにしましょう。
さらに、オフィスワークとテレワークの従業員で評価などに不公平が生まれないようにする配慮も必要です。

4-2. ICTを活用した環境づくり

スムーズなハイブリッドワーク導入にはICTを中心としたシステム整備が不可欠です。
近年ではテレワークやハイブリッドワーク構築のためのICTツールも数多く登場しているため、積極的に活用することをおすすめします。

具体的なツールとしては下記のようなサービスが代表的です。

・コミュニケーションツール
・WEB会議システム
・勤怠管理システム
・クラウドPBX

4-3. ハイブリッドワークに適したオフィスデザイン

出社とテレワークを自由に選択できる環境において、従業員が出社したくなるオフィス構築も非常に重要です。
ABWやフリーアドレス制など柔軟かつ効率的な働き方ができる環境はもちろん、おしゃれなレイアウトやインテリアなど、トレンドを意識したオフィスデザインを意識するようにしましょう。設備・デザイン・雰囲気など多角的な側面から空間を構築し、変革を続ける働き方をサポートできるオフィスを作ることで、従業員のウェルビーイングや定着率向上に繋がっていくでしょう。

従業員のモチベーションアップをはじめ、ブランディングや採用にも効果的なオフィスデザインについては過去コラム【オフィスデザインのトレンドをご紹介!採用や企業イメージアップにも効果的】でご紹介しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
オフィス事例集など、オフィス構築に役立つ資料のダウンロードはこちら

 

5.ハイブリッドワーク導入企業

ハイブリッドワークは業種や職種により相性があるものの、Withコロナ、Afterコロナに向けて各企業が新しい働き方に関する施策や制度を続々と発信し始めています。

それでは、実際にハイブリッドワークを導入した企業の割合と実際の事例はどんなものがあるのでしょうか。
こちらの章では、ハイブリッドワーク導入した企業の割合や企業事例をご紹介します。

5-1. 日本全国でハイブリッドワークをおこなっている企業の割合は約3割

内閣府の調査によれば、完全なテレワークを除いたハイブリッドワーク導入率は2023年3月時点で全国で25.5%、都心部に限定すれば42.2%。

業種や職種による差はありますが、概ね全体の3割程度の企業がハイブリッドワークを導入していると言えます。コロナ禍以前が全国7.5%、都心部14.3%だったことを踏まえると、ハイブリッドワークを導入した企業は3~4倍に増加している状況です。

参考:内閣府(第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査)

5-2. ハイブリッドワークを導入している企業の事例

実際にハイブリッドワークを導入している企業事例についてご紹介いたします。

5-2-1. (1)GOOD PLACE(旧コスモスモア)

コロナ禍以前からハイブリッドワークを導入しているGOOD PLACE(旧コスモスモア)。
働く場をつくるオフィス事業や総務アウトソーシング事業、リノベーションをはじめとする建築事業を展開する弊社は、コロナ禍に先んじてテレワークを導入しており、現在も引き続き個人の裁量で行うことができます。以前はリモートワークは週4回まで、事前申請が必要という規定がありましたが、現在では個人の裁量に委ね、プロジェクトや業務の内容に応じて、リモートと出社をハイブリッドで運用しています。

参考:GOOD PLACE採用サイト「福利厚生」
   ミライのお仕事「有給休暇取得で手当支給!株式会社GOOD PLACEの多様な働き方を促進させる数々の施策とは」

5-2-2. (2)Google

完全テレワークを導入していたGoogleは、2023年6月にハイブリッドワークポリシーを更新。週3日の出勤を勤務評価の一部に加えることとなり、常にオフィスに出社しない従業員にはリマインドが送信されるようになったそうです。
Googleの最高人事責任者であるフィオナ・チッコーニ氏は、オフィス勤務について 「直接集まることに代わるものはない。同じ部屋で一緒に仕事をすることが前向きな変化を生むことには疑いの余地はない。」 と述べています。

参考:NBCUniversal Media, LLC(Google to crack down on office attendance, asks remote workers to reconsider)

5-2-3. (3)東芝

原則出社を掲げていた東芝は方向性を見直し、事務や研究開発など在宅勤務可能な職に就いている従業員に対して、国内なら全国どこでも居住してもいいとする新制度の導入を2022年に発表しました。「業務内容が全て在宅勤務で対応でき、生産性を維持・向上できるのであれば理由は問わない。 」とのことです。明確な出社日数などは定められていませんが、従業員の判断により業務内容に応じて在宅・出社を自由に選択できるハイブリッドワークを採用しています。

参考:東芝、原則出社を撤廃へ 4万4000人対象にコロナ後も(日本経済新聞 電子版、2022年7月13日)

5-2-4. (4)サイボウズ

コロナ禍以前から先駆けてハイブリッドワークを導入していたサイボウズ。
2010年の時点で在宅勤務のテスト運用を始めており、2018年4月からは100人100通りの働き方ができるようになっています。「午前中は常に在宅勤務をします」「水曜日は在宅勤務をします」といった希望の働き方を社員に宣言してもらい、突発的な場合は申告の上で上長から承認されれば認められるそうです。

参考:サイボウズ(サイボウズの「テレワーク」に関する情報を公開します)

 

6.まとめ

ハイブリッドワークは生産性向上はもちろん、従業員のモチベーションを大きく向上させる施策です。とはいえ新しい働き方として、まだ試行錯誤が必要な段階でもあります。
もしハイブリッドワークの導入を検討されているのであれば、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。

オフィス事例集など、オフィス構築に役立つ資料のダウンロードはこちら

RELATED ARTICLES関連記事

make a good place