地方創生テレワークで得られるメリットとは
コロナ禍を経てテレワークが広く浸透し、時間や場所に捉われない働き方が注目されるようになりました。この状況をきっかけに地方を活性化させるべく、内閣府が先陣を切って推進しているのが「地方創生テレワーク」です。地方創生テレワークとは、サテライトオフィス勤務などを通じて、地方エリア活性化に貢献するためのテレワークを指します。「働く場所」「住む場所」の選択肢が広がることで、採用面・待遇面なども含めた新しい働き方の発見が期待されている取り組みです。今回の記事では地方創生テレワークを推進することで、企業やワーカーにとってどのようなメリットがあるのかをご紹介いたします。併せて地方創生テレワーク推進のために自治体が取り組んでいる事例についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 地方創生テレワーク推進企業で働く代表的な3つのメリット
近年、パソコンと通信環境があれば場所を問わずに業務を行えるテレワークを導入する企業が飛躍的に増加しています。どこでも仕事ができるという環境から、多彩なライフスタイルのもと地方など各地への移住を考えるワーカーも増えつつあります。こうした状況のなか、地方へのオフィス進出を考える企業も少なくありません。地方に進出することで、企業・ワーカーの双方にとってどのようなメリットがあるか解説いたします。地方創生テレワークを推進する企業で働くことで、ワーカーが得られる主なメリットは下記の通りです。
1-1. 働く場所の自由や時間的ゆとりが生まれる
テレワークによる在宅勤務をはじめ、地方にサテライトオフィスができることでワーカーは働く場所や環境に縛られることなく、自由な働き方を実現することができます。地方の自然豊かな環境で暮らしたいなど、各々が描く働き方を実現しやすくなるでしょう。
1-2. 通勤ストレスが軽減する
首都圏で働くワーカーにとって、通勤は大きな疲労とストレスを感じます。それが地方創生テレワークによって在宅勤務や近場にサテライトオフィスが新設されれば、ストレスの軽減または解消が期待できるでしょう。また通勤に要する時間も短縮され、プライベートと仕事の両立がしやすくなるのも魅力のひとつです。
1-3. 個別の事情に合わせた働き方ができる
地方創生テレワークで働けるようになれば、家庭や個別の事情に合わせた働き方を実現しやすくなります。例えば結婚や介護、子どもの出産・育児などの理由から地元に戻る場合でも、退職せずに仕事を続けられるようになるのです。
参考:地方創生テレワーク従業員側のメリット
2. 地方進出で企業が得られる3つのメリット
一方、企業が地方をサテライトオフィスやワーケーション制度の別荘地として活用すると得られる主なメリットは下記の通りです。
2-1. 地域の産業や教育機関との連携によるイノベーション創出
各地域に特化した産業や、地方の大学など高等教育機関と連携し、地域プロジェクトに参画することで、新たなイノベーション及び新事業の創出が期待できます。
2-2. 新たなビジネスチャンス発見の可能性がある
人口や企業が少ない地方には、少子化や過疎化などの課題がある反面、競合の少ないビジネスチャンスが数多く眠っています。地方創生テレワークに参入することで、新しい人脈や交流を通じた新ビジネスを発見できるかもしれません。地方だからこそ成立するマーケットを開拓できれば市場を独占できるチャンスも出てきます。また、地方自治体と協業する形で新事業を展開していけば、想像以上のマーケットに発展するかもしれません。さらに、地方に拠点進出し本社との機能分散を行うことで、いざというときのバックアップなど事業継続におけるリスク分散にも活用できます。
2-3. 優秀な人材確保や定着率の向上が期待できる
テレワークによる在宅勤務や地方での勤務が可能になることで、ターゲット人材の居住エリアを問わず採用できるようになります。他社との採用競争の差別化を図り、優秀な人材を確保しやすくなるだけでなく、生活環境の変化などによる人材の離職を防ぎ、定着率の向上も期待できるのです。
参考:地方創生テレワーク企業側のメリット
3. 自治体の地方創生テレワーク事例
下記の事例は、この状況を活用して各自治体が地域を活性化させるために行っている、多種多様な地方創生テレワーク推進に向けた取り組みの一部です。
3-1. 山梨県の地方創生に対する取り組み
山梨県では地方創生のひとつとして「二拠点居住」を推進しています。二拠点居住とは、県が東京の企業に対してワーケーションツアーなどを通じてアプローチを行い、各社の社員が必要に応じて都心部・地方のどちらでも働ける環境づくりを推進する取り組みです。元々山梨県は東京との距離が近く、1時間半ほどで移動できるという特徴を持ったエリアです。そのため東京に戻らなければならない状況になったとしても、わずかな移動時間で戻ることができます。こうした立地を地域活性化の取り組みとして活用したプロジェクトが「二拠点住居」です。具体的なアプローチとして、県が提供している「山梨県サテライトオフィス等お試し体験事業費補助金」等の制度を活用し、企業単位や部署単位で現地を訪問し体感してもらうことで、山梨県の魅力を積極的に発信しています。現在では30社以上の企業が山梨県を訪問し、実際にサテライトオフィスなどの拠点を構える企業も出てきているそうです。
参考:地域特性を活かした新たな企業誘致のカタチ!二拠点居住で選ばれる県へ
3-2. 長野県のおためしナガノ
長野県では2022年の施策として「おためしナガノ」という取り組みを実施しています。おためしナガノは長野県をIT関連事業発展の場として活用してもらえるよう、最長6カ月というおためし期間を設け、期間内のオフィス利用料・引っ越し代・交通費等を県が補助するという制度です。対象となるのはアプリやゲームの開発、IT系、PCを使ったクリエイティブ制作、その他WEB・デジタルを活用した領域の事業を展開している法人・個人。仕事場や拠点として長野県を活用したいと検討しているIT関連事業者全般です。おためしナガノの実施は2022年で8期目となり、2022年は8月上旬から2023年2月末にかけて行われます。(※現在は新規の応募受付を終了しています)コワーキングスペース等の利用料金から家具家電、自動車のレンタル料をはじめ県外への業務上の交通費などが補助されるため、事業者はリスクを最小限に長野でのオフィス運営を試すことができます。また事業や生活に関する相談も受け付けており、県が手厚くサポート。おためし期間終了後の本格移転・拠点展開のフォローも受けられるため、これまで計92組もの個人・企業が参加しています。
参考:「おためしナガノ」(長野県庁)
4. 地方創生テレワーク進出時のポイント
地方創生テレワークへの参入を検討する際には下記がポイントになります。・地方創生テレワークの進出エリア選定地方特有のメリットとして、地方自治体との協働体制や支援体制、地元産業との連携体制が期待できることが挙げられます。そのなかで得られる支援内容やインフラの状況、抱える課題などは地域によっても異なるため、事前の打ち合わせやリサーチが非常に重要です。まずは「自社の事業で、その地域に何ができるのか」を軸に、プロジェクトを進めていくことをおすすめします。公式サイトには地方創生テレワークを検討している企業に向けた相談窓口も設置されているので、興味がある方は相談されてみてはいかがでしょうか。
参考:地方創生テレワーク相談窓口
サテライトオフィスとしての環境チェック地方創生テレワークやワーケーション制度の導入に必要不可欠なのがサテライトオフィスやコワーキングスペースです。現地のサテライトオフィスはただ執務スペースがあればいいというわけではありません。サテライトオフィスとして地方進出を検討する場合は、最低限下記の環境が整っているかは確認しておくべきでしょう。◎安定したネット環境と高いセキュリティの有無◎集中するための防音/遮音の個別空間・ブース◎電源設備の完備社員が本社と変わらないパフォーマンスを発揮できるよう、十分な環境が整っているかは必ず視察しておくようにしましょう。なおここでご紹介している内容の詳細は「内閣府地方創生テレワーク」の公式サイトに記載されているので、興味がある方は参考にしてみてください。
参考:サテライトオフィスやコワーケーションスペースを活用してもらうために「おさえておきたいポイント」とは
5.まとめ
地方創生テレワークはワーカーや企業だけでなく、地方にとっても深い意義を持つプロジェクトのひとつです。働き方改革と新型コロナウイルス感染症拡大の影響により働き方が多様化してきている現代だからこそ、地方創生・活性化のチャンスでもあります。今後地方創生テレワークへの参入を検討されているのであれば、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。