会社が本社移転を選ぶ理由とは?メリットや必要な手続きを解説

本社移転をする会社が増加しています。その背景には、どのような理由があるのでしょうか。
この記事では、本社移転の基礎知識や本社移転をする会社が増えている理由のほか、移転のメリット・デメリットについて解説します。また、本社移転に必要な手続きについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
1. 本社移転とは、会社の中枢機能を担う事業所を移転すること
本社移転とは、会社の中枢機能を担う事業所、すなわち本社をほかの場所へ移動させることを指します。なお、移転によって登記上の変更が必要になるのは、正確には「本社」ではなく「本店」です。本社と本店は混同されやすいですが、本来は異なる意味を持っています。
本社は、事業推進の拠点としての役割を果たす、会社の中枢機能を果たす事業所です。しかし、会社設立時に、登記の必要がありません。一方で本店は、登記簿に記載される事業所を指し、移転の際には登記の変更が必要です。
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2. 会社が本社移転を選ぶ主な理由
近年は、本社移転をする会社が増加しています。株式会社東京商工リサーチが2024年4月に発表した「都道府県を跨ぐ企業の本社移転は1万3,701社 転入超過トップは千葉県、2位は茨城県」によれば、2023年4月から2024年3月の間に都道府県をまたいで本社機能を移転した会社は1万3,701社に達し、前年比で3.3%増加しました。この背景には、さまざまな社会的・経済的要因があります。
会社が本社移転を決断する理由はさまざまですが、その一つがICTの普及です。これによってリモートワークがしやすくなり、従業員の働き方が大きく変化しました。以前のように、すべての従業員が働けるスペースを確保したり、通勤の利便性が高い場所にオフィスを構えたりする必要がなくなった結果、本社を移転するケースが増えています。一方で、コロナ禍の収束に伴い、都心回帰をする会社も少なくありません。
また、近年は人手不足や採用難に対処するため、従業員の働き方改革を目的とした本社移転が行われるケースも増えています。
参考:株式会社東京商工リサーチ
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3. 本社を首都圏から地方へ移転するメリット
本社を首都圏から地方へ移転することには、さまざまなメリットがあります。主なメリットは下記の通りです。

首都圏から地方へ本社移転するメリット・デメリット
3-1. 従業員のワークライフバランス向上が期待できる
本社を首都圏から地方へ移転すると、従業員のワークライフバランス向上が期待できます。本社を地方に移転し、リモートワークに対応すれば、それまで首都圏内で本社に通勤していた従業員は負担が軽くなります。通勤に使っていた時間を業務にあてられるようになり、ワークライフバランスを向上できるでしょう。
3-2. BCP(事業継続計画)を強化できる
BCP(事業継続計画)を強化できることも、首都圏から地方へ本社を移転するメリットです。本社機能を地方へ分散することで、災害発生時でも、一部の拠点で業務を継続できます。緊急時でも、業務の停止を最小限に抑えることが可能です。
3-3. オフィス賃料が下がる場合がある
首都圏から地方へ本社を移転すると、オフィスの賃料を下げられる可能性があります。地方都市は一般的に、首都圏に比べてオフィス賃料が安価です。本社移転をしてオフィス賃料が安くなれば、事業拡大や従業員の福利厚生に再投資することもできるでしょう。
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4. 本社を首都圏から地方へ移転するデメリット
地方への本社移転には、いくつかのデメリットも存在します。主なデメリットは下記のとおりです。
4-1. 営業活動が難しくなる
地方に本社を移転すると、取引先との物理的な距離が増し、これまでのように訪問し、対面でコミュニケーションをとる機会が減少します。特に、信頼関係の構築に不可欠な、対面での商談や打ち合わせが制限される可能性があります。特に、対面でのコミュニケーションが重要な取引先には、移転後も適切な対応を行い、関係を維持することが求められます。オンラインでの商談が増えたとはいえ、信頼構築のためには対面でのフォローが欠かせません。
4-2. サテライトオフィスが必要になるケースがある
本社を地方に移転すると、ケースによってはサテライトオフィスが必要になることあります。本社移転に際して、首都圏にサテライトオフィスを設置する企業は少なくありません。特に、顧客と対面での商談を重視する企業では、既存顧客との関係維持や新規顧客開拓のため、都心にサテライトオフィスを置いて顧客への対応力を維持しようとする傾向があります。
また、大規模な自然災害やインフラの停止など、予期せぬ事態が発生した場合に備え、BCPの一環として都心にサテライトオフィスを設置する企業もあります。しかし、サテライトオフィスの設置は、コストや管理などで負担が増えるといったデメリットも伴うため、慎重な検討が必要です。
4-3. 人材確保が難しくなる場合がある
本社を地方へ移転させた場合、人材確保が難しくなる場合があります。これは、新卒採用に限らず中途採用においても同様です。特に、対面でのコミュニケーションが不可欠な業務では、首都圏に比べて地方はより人材確保が困難になる可能性があります。これらの課題を解決するためには、就業規則の見直しやサテライトオフィスの設置、オンライン面接の活用など、多角的な対策が必要です。
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5. 一般的な本社移転のメリット
本社移転は、企業の成長や環境の変化に伴い、さまざまなケースで行われます。首都圏から地方への移転のほかに、地方から首都圏への移転、さらには事業規模拡大に伴う都道府県内での移転など、その目的や規模は一様ではありません。
ここでは、本社移転が企業にもたらす、一般的なメリットについて解説します。
5-1. 従業員のモチベーションが上がる
一般的に、本社移転をすると従業員のモチベーションに大きな影響を与えます。本社移転によってオフィスのレイアウトが変わり、働く環境が一新されると、気持ちも新しくなるだけでなく、仕事への意欲が高まり、帰属意識の向上なども期待できるでしょう。
5-2. 効率化や生産性向上を期待できる
本社移転は、企業の働き方改革を推進し、生産性を向上させる絶好の機会となります。本社移転を機に、働き方に合わせたオフィスレイアウトをすれば、仕事の効率は高まりやすくなります。また、オープンなコミュニケーションスペース、集中して作業できる静かな個室などを整備することにより、従業員のモチベーションや生産性の向上も期待できます。
5-3. ブランドイメージが高まる
本社移転をすると、ブランドイメージを高めることも可能です。エントランスのデザインの刷新、地域の新たなランドマークとなるビルへの入居などにより、取引先や顧客に対して、革新性や業績の成長をアピールすることができます。
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6. 一般的な本社移転のデメリット
本社移転には、メリットだけでなくさまざまな課題やリスクも伴います。本社移転の一般的なデメリットについて解説しますので、参考にしてください。

一般的な本社移転のメリット・デメリット。
6-1. 通勤が不便になる従業員もいる
一般的に、本社移転をすると通勤が便利になる従業員もいれば、負担が増加する従業員もいます。特に、遠隔地や、公共交通機関のアクセスが不便な場所に移転すると、従業員の満足度が低下し、離職につながる可能性も否定できません。本社移転をする際には、従業員の通勤の利便性や通勤時間なども考慮することが大切です。
6-2. 一定のコストと時間がかかる
一定のコストと時間がかかることも、本社移転のデメリットです。本社移転には、入退去に伴う契約費用、内装工事費用、ITシステム移行費用など、多額のコストがかかります。また、一般的に本社移転をするには、10ヵ月程度の期間がかかります。
また、移転目的の設定のほか、パートナー企業との打ち合わせや移転準備なども行う必要があるため、担当者には少なからぬ負担がかかるでしょう。
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7. 本社移転をする際には住所変更の手続きが重要
本社移転を成功させるためには、関連する手続きを正確かつ適切なタイミングで進めることが重要です。
本社移転の手続きの中でも重要な手続きの一つが、住所変更の届け出です。法務局や税務署、年金事務所、労働基準監督署、公共職業安定所など、多くの公的機関に住所変更を届け出る必要があります。これらの手続きを怠ると、法令違反としてペナルティを受ける可能性があるため注意してください。
特に、移転後2週間以内に移転登記を行わない場合、100万円以下の過料が科される可能性があります。このため、移転の全体スケジュールを考慮しながら、タイミング良く手続きを進めることをおすすめします。なお、多くの手続きは、オンラインでも申請可能です。
オフィス移転で必要な書類と提出先について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
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8. 本社移転を成功させ、ビジネスを成長させよう
リモートワークの普及などによって従業員の働き方が変わったことを受け、本社移転をする会社が増えています。本社移転には、首都圏から地方都市へ移るケースもあれば、コロナ禍の収束による都心回帰のケース、事業規模の拡大に伴うビルの引越しといったケースなどさまざまです。
本社移転には、複数のメリット・デメリットがありますが、適切な準備と計画を行うことで、移転に伴うリスクを最小限に抑え、メリットを最大化できます。本社移転を成功させ、ビジネスの成長の力としてください。
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