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左から土居(株式会社GOOD PLACE)、山口様・辰野代表・岩田様(辰野株式会社)、朴・岩本(株式会社GOOD PLACE) 写真:Nishioka Kiyoshi
繊維事業を基盤に、不動産やインフラ資材など「衣・住・社会基盤」を支える事業を展開している辰野株式会社様。同社は、保有する大阪市淀川区の辰野新大阪ビルのリニューアルにあたり、企業活動の軸として掲げるコンセプト「リジェネラティブ(再生)」を体現したいという意向をお持ちでした。その想いを受け、GOOD PLACEがリノベーションに伴うPM・設計・施工を担当。ビル名も「辰野新大阪ビル」から「ReTerra 新大阪」へと生まれ変わりました。
インタビュー前半では辰野株式会社 代表取締役社長の辰野光彦様に、後半ではプロジェクトを担当された不動産事業部 国内賃貸営業チームの岩田様・山口様・八木様と、GOOD PLACEのプロジェクトメンバーである土居・朴・岩本に、業界でも先駆的な挑戦であるリジェネラティブを体現するビルをどのように共につくりあげていったのか、話を伺いました。
聞き手・執筆:株式会社GOOD PLACE ブランドマネジメント課 三倉
──今回の辰野新大阪ビルのリニューアルではリジェネラティブ*が大きなキーワードになっているかと思います。この考え方はどのような背景から生まれたのでしょうか。
辰野株式会社 代表取締役社長 辰野光彦様(以下、辰野代表)
我々は「古くて新しい会社」を目指しています。2026年で創業92年になりますが、繊維・電力資材・不動産の3事業から成り立っていて、社内では「衣・力・住(い・りょく・じゅう)」と呼んでいます。人間の生活において根源的に必要な分野に、ビジネスとして関わらせていただいている会社です。
2年前の創業90周年を機に、長期のビジョンとして、一言で言えば「リジェネラティブカンパニーになろう」と社内で発表しました。次の世代以降に意味のあるビジネスを残したいという思いが根底にあります。遡ってみると、明治時代から現在までは人間中心的な考え方がやや強かったようにも思いますが、子どもたちやその先の世代を考えると、この地球の資源も限られている。生活の営みに関わる事業をさせていただいている我々が、人間以外の生命の繁栄をビジネスを通じて形にしていくことはとても意義のあることだと考えました。また個人的にも、自然のなかで自分らしくいられるという感覚があります。学生時代はチームスポーツや音楽の合奏に打ち込んだこともあり、お客さまやパートナー様とより良い未来に向けて同じ方向を向いて仕事ができたらこれほどうれしいことはないと思っています。

辰野株式会社 代表取締役社長 辰野 光彦様 写真:Nishioka Kiyoshi
──そのビジョンをReTerra 新大阪で形にしようと決められた経緯を教えてください。
辰野代表
当社で保有しているビルは複数あるのですが、ReTerra 新大阪(旧辰野新大阪ビル)はちょうど築30数年が経過し、大規模な改修が必要になってくる時期でした。ビジョンを社内で共有した上で、このビルの改修にあたりリジェネラティブをコンセプトに据えて進めていきたいね、という議論が自然に湧き出てきました。
印象的だったのは、社内でビジョンを発表したのが2024年10月の土曜日で、その翌週月曜朝一番に入っていた打ち合わせがこのReTerra 新大阪についてでした。ビジョンについての想いを念頭に持ちつつ、このリノベーションの打ち合わせが始まり、当社にとって象徴的な第1号プロジェクトのスタートになりましたね。

リノベーション前のReTerra 新大阪 写真:GOOD PLACE
──ReTerra 新大阪の改修をリジェネラティブというコンセプトをもとに進めるにあたり、どのようなビルにしていきたい、のような具体的なイメージは当初お持ちでしたか?
辰野代表
具体的なイメージについては、対話をしながら進めていく過程で形作られていきましたね。大きな観点で言うと、ビル自体は都市の中心部にあるものの、その空間を訪れることで人間は自然の一部である感覚を思い出していただきたい気持ちがありました。そして実際完成してみて、それが体現できているなと感じています。
──今回のプロジェクトを通して、対外的に、また社内的な変化はありましたか?
辰野代表
リジェネラティブという概念的なキーワードが、ReTerra 新大阪という空間で具現化されたことで、テナント様や関係者の方々に広く体感していただけるようになった意義は大きいです。また社内的にも、今回のプロジェクトメンバーはもちろん、関わっていないメンバーにとっても、ここまでこだわり抜いてリニューアルしたという事実が、完成した空間を通じてリアルに伝わっています。それが今、組織にとっても大きなインパクトになっていると感じます。

写真:Nishioka Kiyoshi
──空間として作り上げることで、そこに訪れる人に「体験」を届けることができますよね。
辰野代表
そうですね。ビルの外構の植物には四季折々の移り変わりがあり、変化を楽しめます。自然界では、一日の中でも、朝日と夕日では見え方が異なりますし、音や香り、光など、五感を刺激する変化がありますよね。そういった自然の変化を、このビルでも日常的に感じられる空間になっていると感じます。このReTerra 新大阪がリジェネラティブの発信拠点にもなりますし、こういった建物が増えることで、街中にリジェネラティブを表現する発信拠点が増えていきます。単に建物という役割だけでなく、ある意味メディアのような存在にもなりえると感じています。今後も当社の不動産事業としてこのビルで終わりではなく次なるプロジェクトも見据えていますし、もっと言えば我々の祖業である繊維事業において、衣類なども絡めた形で共創の場を作っていく、あるいはそれを学びや実践につなげていきたいですね。

写真:Nishioka Kiyoshi
──プロジェクトの始まりから、当社を選んでいただいた経緯と決め手をお聞かせください。
辰野株式会社 不動産事業部 国内賃貸営業チーム 次長 岩田様(以下、岩田様)
仲介会社様(コリアーズ・デザイン・アンド・ビルド株式会社)を通じて、GOOD PLACEさんをご紹介いただいたのがお付き合いのはじまりでしたね。コンペは3社にお声がけしていて、ReTerra 新大阪のリノベーションにあたりリジェネラティブの要素を加えた提案をしてほしいとご相談したところ、各社それぞれに素晴らしい提案をいただきました。ですがそんな中でも、GOOD PLACEさんは資料から伝わる熱量が群を抜いていました。私たちの想いや熱意を汲み取っていただき、リジェネラティブの実現に向けて真摯に向き合いながら、提案してくださったことが印象に残っています。
しかもそれを楽しそうに取り組んでおられる。チームワークの良さや、お会いした時の皆さんの雰囲気から、一緒に進めたいという気持ちが強くなりました。一方で、提案の規模に見合った相応のコストも提示いただいていたので、その部分を擦り合わせていく必要はありました。ただ最終的には、3社からの提案を社内で検討した結果、GOOD PLACEさんの提案を満場一致で選びました。当社のリジェネラティブを表現したビルのフラグシッププロジェクトには、最もふさわしいと。

辰野株式会社 不動産事業部 国内賃貸営業チーム 次長 岩田様 写真:Nishioka Kiyoshi
株式会社GOOD PLACE 大阪支店 ストラテジックデザイン課 課長 土居(以下、土居)
ありがとうございます。そのように言っていただけて嬉しく思います。コンペの要項を拝見した際、リジェネラティブというキーワードに、雨水利用や再生素材の写真が添えられていました。正直なところ、はじめはどう提案すべきかわからなかったんです。ですが、辰野の皆さんから強い意志は感じていました。まだその時点では具体像は見えていないけれど、何か新しいことに挑もうとされている、と。なので私たちも、「リジェネラティブとは?」という学びからスタートしました。当社としても、リノベーション・オフィス構築といった事業を通じてお客さまと一緒に理念の体現をしたいと考えています。であれば、最初から全力の提案をお出ししようと考えました。まず熱量を受け止めていただけるかどうかが勝負だと思い、惜しみなく臨みました。

約50ページに渡る、熱い想いを込めた初回提案資料の一部
岩田様
本当に、提案の熱量にはとにかく圧倒されました。同時にコストにも圧倒されたのですが…。
土居
提案したパースを初めて見ていただいた時に、岩田さんが「(良い意味で)びびった」と言ってくださっていたのがとても嬉しかったんです。デザインする側としては、お客さまの想像を超えたものを出したい、と常に思っているので。

株式会社GOOD PLACE 大阪支店 ストラテジックデザイン課 課長 土居 写真:Nishioka Kiyoshi
──「(良い意味で)びびった」という印象を持たれたとのことですが、GOOD PLACEからの提案デザインで一番驚かれたのはどのあたりでしょうか?
岩田様
「パークオフィス」という考え方に基づいた、ビルと前面道路との間に設けられた公園のような外構部分のデザインは、私たちには予想外でしたね。駐車場前面の両側に緑をあしらい、テラスをつくって滞在できる空間にするという発想は持っていなかった。シャッター部分の一部改修くらいは想定していましたが、あの規模で空間を作り上げるというイメージはまったくなかったので、驚きました。

初回提案時の、公園をイメージした外構イメージパース
土居
リジェネラティブという言葉を調べていくと、もともと再生農業から始まっていることが分かりました。「自然を復活させる」という意味合いは理解できたのですが、コンペ要項を拝見すると「発信」というワードが非常に多く出てきた。そこで見えてきたのは、自然を再生させるだけではなく、その考え方を発信する基点となるようなビルというコンセプトでした。
訪れた人が体感して「自然っていいな」と感じられる場所、そう思える人が増えることこそがこのプロジェクトの本質だと思っています。改修前のビルを最初に見学させてもらった際、外構部分に植物は植わっているものの人が入れない状態で、この場所にはまだ、引き出されていない魅力があると感じました。外構はビルの顔にもなる場所ですので、だからこそこの部分に「公園」をつくってしまおう、と考えたのです。

竣工後の外構。ビルの前を通る一般の人も自然と立ち寄れるような空間となっている 写真:Nishioka Kiyoshi
──リジェネラティブという概念を具体的に落とし込むプロセスや難しかった点についてお聞かせいただけますでしょうか。
岩田様
全部が難しかったですね。突き詰めるとリジェネラティブって何?ということに尽きるかと思います。当初は太陽光発電や雨水循環など環境配慮の要素を盛り込みながら「リジェネラティブの考え方を発信するビル」という方向性でリノベーションが進んでいたのですが、プロジェクトが進むにつれ「発信だけではサステナブルとの違いが見えない」「リジェネラティブと名乗るなら、実際の再生ができなければ」という議論に発展していきました。

写真:Nishioka Kiyoshi
土居
設計の初期段階では発信をテーマに置いていましたが、どこかでこの問いに向き合う局面が来るだろうとは感じていました。リジェネラティブの本質は、自然環境を再生させてより良い状態に導いていくこと。発信と再生をどう両立させるかが、このプロジェクト最大のテーマになっていきました。
岩田様
転機になったのは「土」という軸が見えてきたことです。当社の代表も土の再生に関する文献を読み込んでいまして、土壌が良くなれば草木がより力強く育つ——それは自然が本来の姿に戻ろうとする営みです。そこに人の手を加える(土を動かす)ということは、自然の循環の一部として人が果たすべき役割もあるはずだ、と。
それをこのビルにおけるリジェネラティブの定義にしようという方向性が、プロジェクトの後半で固まっていきました。そこからは一気に具体化が進みました。当社が所有する能勢の山(大阪府豊能郡)から運んだ土や石をエントランスのオブジェに使い、壁面には土壁を採用しています。テナント様から出るコーヒーかすやお茶の葉を乾燥させて堆肥化し、外構の土に還す取り組みも始まっています。

ビル1階のエントランス。入口入って右手に、大地を感じさせるオブジェが現れる。ビル名サインがつく壁面の壁には、能勢の山の土が練り込まれている 写真:SS Co., Ltd. Masaya Tsuchide
土居
将来的には、ここで良くした土を能勢の山に戻して山の再生につなげることや、土壁を解体した際にも再利用できるよう化学物質を使わない工法を採ることなど、循環の設計を随所に組み込んでいます。土というキーワードが出てきたことで、プロジェクト全体の方向性が明確になりました。

写真:Nishioka Kiyoshi
──リジェネラティブという概念を建築に落とし込む過程で、御社と当社で共におこなったこととしてはどのようなことがありましたか?
辰野株式会社 不動産事業部 国内賃貸営業チーム 山口様(以下、山口様)
様々ありますが、わかりやすいのはワークショップをおこなったり、前述の能勢の山に岩や土をGOOD PLACEさんと一緒に採りに行ったりしたことでしょうか。

辰野株式会社 不動産事業部 国内賃貸営業チーム 山口様 写真:Nishioka Kiyoshi
岩田様
ビルのエントランスをどうするか?という話になったときに、もともとのデザインだけでなくもっとリジェネラティブを伝える方法が無いか、という議論になったんです。その時に、当社が持つ能勢の山の自然素材を取り入れるのはどうか、という流れになり、実際に採りに行くことになったんですよね。

岩を採りに行った際に撮影した能勢の山 写真:GOOD PLACE
山口様
私たちだけで採りに行けたところを、GOOD PLACEの皆さんにも来ていただき、30キロくらいある岩を一緒に運んでもらって。同じ釜の飯を食うではないですが、汗水流して共に体を動かしたことは結束力を強くしました。
株式会社GOOD PLACE 大阪支店 ストラテジックデザイン課 岩本(以下、岩本)
山に採りに行った時は、行きより帰りの方が達成感を感じて楽しかった記憶があります(笑)。帰りは皆で一緒にお風呂にでも行きたいね、という雰囲気にまでなりましたね。この日の出来事で、辰野さんともぐっと距離が縮まったように思います。

株式会社GOOD PLACE 大阪支店 ストラテジックデザイン課 岩本 写真:Nishioka Kiyoshi
岩田様
私たち自身がリジェネラティブというキーワードに対して試行錯誤しながら取り組んでいるなか、GOOD PLACEさんも自分たちと同じ目線で一緒に挑戦してくださって、お世辞ではなく「本当の仲間」のように感じましたね。元々GOOD PLACEの皆さんの良いチームワークやスピーディーで的確な対応には感謝していたのですが、一緒に山に登って会社と会社の垣根なども無くなっていて、皆でひとつのチームのような深まりを感じていました。
──そのような共に取り組む時間が良い関係性を育まれたのですね。今回おこなったワークショップについてもお話を伺えますか。
岩本
デザインを検討するうえで、リジェネラティブから着想を得て、ビル全体の内装を一本の木が地下から上階まで通っているようなイメージで構築していきました。その中でサインデザインでは、植物の水や栄養の通り道である維管束や葉脈をモチーフとして採用することをご提案しています。能勢の山で採取した葉を使い、葉脈だけ残す特殊な処理を施すワークショップをビルのテナント様と一緒におこないました。ワークショップで作成した葉脈をテナントサインのベースに貼り込み、他にはないオリジナルのサインが完成しています。

ワークショップで作成した葉脈を挟み込んだ、オリジナルのテナントサイン 写真:GOOD PLACE

ワークショップ風景 写真:GOOD PLACE
土居
私たちがこれまで手掛けたリノベーションプロジェクトの中でも、ワークショップは意識して取り入れています。というのも、リノベーションが終わった後に維持管理運用していくのはビルの所有者さんであり、またそのビルに入っているテナントの皆さんですよね。ビルに関わる人たちがワークショップを共におこなうことで、その建物に対しての愛着を形成できるのでは?と考えているんです。実際に何か変化を感じることはありましたか?

写真:Nishioka Kiyoshi
山口様
ワークショップの魅力はとても感じていますね。葉脈サイン制作のワークショップではテナント様にもご参加いただき、より関係性が深まりました。また今回の改修計画にも興味を持っていただき、その後も定期訪問しております。今回のリノベーションでは、私たちも一切妥協していないんです。良いビルをつくりあげよう、リジェネラティブを体現できるビルをつくり上げようと必死に取り組んできたこともあり、私自身、本当にこのReTerra 新大阪が好きなんです。テナント様へリノベーションの進捗や完成の報告をする際も、自分自身が心底魅力を感じているからこそ、条件面の調整を含め、真摯に説明ができました。細部まで自分自身が関わってつくり上げたこともあり、テナントさんとのコミュニケーションも自然と生まれやすいですね。
──リノベーションを経たビルの魅力を心から伝えられるというのは、テナントの方々にとっても響きそうですね。今回のリノベーションで、ReTerra 新大阪という新しいビル名になりましたが、名前に込められた想いを教えてください。
山口様
「地球との共繁栄」と「エネルギッシュなワード」という二つの軸から生まれたのが、「ReTerra」という名前です。「Re」にはリジェネラティブや再生の意味を、「Terra」には大地・地球の意味を込めていて、「大地を取り戻す、良くしていく」というコンセプトがそのまま名前になっています。
ビル名が変わることで、新しく生まれ変わろうとしているという意志も伝わる。「ReTerra」というワードは、そういう意味でも非常に良かったと思っています。
──簡潔でありながらコンセプトを表していて、素敵なネーミングだなと感じました。話が少し変わりますが、プロジェクトの始まりから振り返って、心境や考え方などの変化はありましたか?
辰野株式会社 不動産事業部 国内賃貸営業チーム 八木様(以下、八木様)
私自身、この規模のプロジェクトに関わるのは初めてだったので、最初はGOOD PLACEさんからのご提案に対してYES/NOで答えていく進め方をイメージしていました。ですが実際は、打ち合わせを重ねながらお互いに意見を出し合い、多角的なご提案をいただきながら形を作り上げていく流れで。とても良い経験になりました。
意識の面でも変化がありましたね。「誰かが良くしてくれるだろう」ではなく、ビルのことをより自分事として考えるようになりました。山口が言っていた「愛着が湧く」という感覚は自分もとても共感しています。

辰野株式会社 不動産事業部 国内賃貸営業チーム 八木様 写真:Nishioka Kiyoshi
山口様
特に芽生えたのは、主体性と責任感ですね。担当が違うからと進捗を待っているだけだと、物事が進まない。自分から動く、という意識が強くなりました。
──GOOD PLACE側の心境の変化はありますか?
岩本
私たちは、お客さまの企業理念を大切に捉えて提案をすることを心掛けていまして、自分たちの提案がすんなり受け入れていただけることもあります。光栄ではあるのですが、一方で今回のプロジェクトでは、「リジェネラティブとはなんぞや」というお題にこちらが提案をお出しし、辰野さんからも「もっとこうなのではないか」と問題提起をいただく。対話をキャッチボールのように重ねられたのがとても新鮮でした。
といいつつも、対話をしながら提案を何度も重ねていくのは大変なことも事実で(笑)。だからこそプロジェクトが終わった後の達成感もあるし、お客さまからの一発OKをもらえる最高のものを提案しよう、と意気込んでもいましたね。
岩田様
今回のプロジェクトは、ただただ皆で良いものにしたい、という純粋な気持ちでGOOD PLACEさんとチームとして取り組めて。学生時代ならまだしも、ビジネスの中でこんなにワクワクして仕事ができることってあるのだなと驚きましたね。

ReTerra新大阪にて 写真:Nishioka Kiyoshi
──いかに良い関係性でプロジェクトが進んだのかが伝わります。当社はPM・設計・施工がそれぞれ別々に独立しているのではなく、3者が一体となって進めていくことを大切にしているのですが、そのあたりを実際に感じたエピソードはありますか?
山口様
GOOD PLACEさんのどなたにご相談したとしても、すぐ連携していただき、情報の伝達が速かったことでしょうか。メールやチャットでの連絡よりも、電話などのコミュニケーションを積極的にとってくださり、抽象的な内容の相談でも明確な言葉にして伝えていただきました。
──GOOD PLACEのソリューションPM*として意識していた点はありますか?
株式会社GOOD PLACE 大阪支店 ソリューションPM課 朴(以下、朴)
リジェネラティブという抽象的なキーワードを具体的に形にしていく過程で、設計は設計、施工は施工で各々様々な意見を広げていくわけですが、竣工というお尻は決まっているし予算も決まっているし。なので、設計に対しては提案前に予算のことを常に念頭に置いてもらったり、施工に対しても安全対策には念には念を入れて注力してもらったり、常に気を遣っていました。チーム全体でとにかくよく会話をして、広がりがちな議論をまとめて良い着地点へ収束できるよう意識していましたね。

株式会社GOOD PLACE大阪支店 ソリューションPM課 朴 写真:Nishioka Kiyoshi
土居
当社では営業と言わずソリューションPM(SPM)と言っているのですが、お客さまの課題を解決するPM、というポジションだと捉えています。大きなプロジェクトほど多くの関係者をまとめながら進行していく必要性が高まりますし、複雑なプロジェクトを牽引していくSPMという役割はとても重要だと感じています。
朴
立ち位置としては結構難しいんです(笑)。社内では設計の立場、施工の立場、どちらの気持ちもわかる。様々な立場の担当者の中でのハブになるので、調整しながら着地点を見つけるためには、基本的なことですがやはりよく会話することですかね。今回のメンバー同士もとても仲が良くて、コミュニケーションが非常に密でした。遅くまで仕事をした後でも、そのままご飯行こうか、となることも多かったです。定例会議の時間は設定しているんですが、それ以外にもラフに集まりながら今回のプロジェクトの話をよくしていました。
山口様
私も実は、朴さんの仕事の仕方からたくさん学ばせてもらっていたんです(笑)。「こういう話のまとめ方、伝え方をするんだな」と、対話での解決方法のヒントにさせていただきました。
朴
そんな風に感じていただいていたのですか、嬉しいです(笑)。
──今回のリノベーションによって、ビルの印象や価値はどう変わりましたか?テナント様からのリアルな声もあれば教えてください。
山口様
営業担当としてテナント様の評価は一番近くで聞いています。エントランスの岩のオブジェは、テナント様が商談でお客さまをビル入口でお迎えした時に程よい会話のきっかけになる、といった声はよく聞きますね。また、私はビルに来た際は1階のエレベーター前にあるベンチスペースに座って仕事をすることがあるのですが、「(リノベーションで)とても良くなったね」など、テナントの皆さんのリアルな生の声が耳に入ってくることがあるんです。そんなポジティブな評価をいただいた時、このプロジェクトに携われて良かったなと心から思います。

写真:SS Co., Ltd. Masaya Tsuchide

写真:SS Co., Ltd. Masaya Tsuchide
八木様
テナント様も、ビルの前を通られる方も、立ち止まって見てくださっています。緑があって土があることで、「何だろう?」と目を向けていただき、自然を身近に感じてもらえているのではないかと思います。リジェネラティブを発信するという視点でこのリノベーションを進めてきましたが、それだけでなくテナント様にも通行人の方にも、五感で自然を感じてもらえるという新たな価値を同時に提供できているのかなと思っています。
──ビルが竣工してから、外構部分につくったベンチに座って一休みしたり電話をしたりしている人がいる、自然な風景があったと聞きました。
土居
とても嬉しかったですね。当社には「シーンデザイン」という考え方があって、デザインを考えるうえで、そこにどんな風景が生まれると良いのかを思い描きながら設計していくことを大切にしています。提案時のパースの段階でイメージしていたシーンがそのまま現実になっている。そう感じられた瞬間でした。

写真:Nishioka Kiyoshi
岩田様
これまで私は街を歩いていて「あそこに花が咲いているな」なんて気に留めることはなかったのですが、先週ReTerra 新大阪に来た時、テラスの植栽の中に紫の花がいくつか咲いているのに気づいて、思わず写真を撮っていたんですよ。この変化って大事だなと。
きっとこれに気付けたのは、自分がこのプロジェクトでリジェネラティブについて真剣に取り組んだからこそだと思います。自分の中で何かが変わってきている、その変化が「花の写真を撮る」という行動にも表れているなと感じました。
先程土居さんもおっしゃっていましたが、外構のベンチに座ってこの新しくできた空間を街の方々が実際に利用してくださっている風景が見れて。やりたかったこと、思い描いていた未来が実現になり始めています。この場所が心地良いから立ち止まって座ってみようと思ってくれた。そういう場所を自分たちが提供できているということに尽きるのではないかと思います。今回のReTerra 新大阪だけで終わりではなく、このビルを第一弾として、第二弾、第三弾と繋げて、リジェネラティブを伝えられる場所をつくっていきたいと思っています。
土居
そうですね。建築は思想や考えを発信するのにとても有効な手段だと思っています。今回のReTerra 新大阪では、公園のような外構を作ることで本当に自然を再生させて、そこを訪れる人に「自然っていいな」と感じてもらう。リジェネラティブという概念を、デザインとして一つの形に落とし込めたのかなと考えています。今後も引き続きチームとして様々なご提案をさせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
