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事業内容
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俺たちだからこそできたホテル

PROJECT 01 俺たちだからこそできたホテル HOTEL KYOTOLOGY

土地探しから始まったGOOD PLACEの新しい挑戦。

1,001体の千手観音像で有名な京都 蓮華王院 三十三間堂。その近くの住宅街にたたずむ京都らしい趣のあるホテルが2020年2月10日に開業した。その名も『HOTEL KYOTOLOGY』。

事業主はGOOD PLACE。設計、施工、運営も主体はGOOD PLACE。京都での土地探しから始まり、市場調査、運営方法や収益モデルの研究を重ね、ホテルのコンセプティング、プランニング、デザイン、施工、そして実際の運営に至るまでGOOD PLACE主体で行っている。パートナーの協力を得ながら完成した初のホテル開発事業。

このプロジェクトのマネージャーに『専任』として任命されたのは、2006年入社の友藤卓也 (写真左)。オフィス事業を約10年、建築事業を2年ほど経験し、不動産収益事業のノウハウを持っていた。
そして、設計ディレクションは土居直人 (写真右)。さらにマーケティング担当、販路を開拓する営業担当、全体統括責任者など総勢6人のチームが組まれた。

今回は友藤と土居にプロジェクトを振り返ってもらう。「GOOD PLACEだからこそ、俺たちだからこそ、できたホテル」だと2人は言う。

土地が決まり会社の熱量が一気に上がる。

2018年4月、当時東京勤務の友藤は京都駅に降り立ち、街を歩くことから始めた。

「インバウンド需要を背景に、『京都でゲストハウスを始めよう』というアイデアから始まったんです。でも京都はさっぱりわからない。まず土地を知ることから始め、投資に対する利回りをシミュレーションしたり、ホテルのコンサルタントや運営会社、WEBサイト開発者などにアポイントを取っては勉強会を開いていただいたり。そんなスタートでした」

事業を模索し始めてから数えて約1年、三十三間堂の近くに有望な土地を見つけた。観光スポット、事業の収益性、GOOD PLACEの建築ノウハウ、どの観点から見てもポテンシャルを最大限に引き出せる土地だった。彼は事業計画をまとめ、上司、役員、社長、親会社であるコスモスイニシアの役員までプレゼンして回った。

初めての事業投資ゆえリスクはある。会社としても判断は慎重になる。彼も相当なプレッシャーだったが、事業計画を見たとたん会社の熱量が一気に上がった。ゴーサインだ。オープンは約2年後。ここから土居らが加わり怒涛のような日々が始まった。

マーケティング担当が改めてインバウンドの実態調査を行い、街で外国人にインタビューもした。土居は設計会社とデザインに取り掛かり、友藤は運営会社と売値を詰めていく。しかし誰もが初の取り組み。順調に進むわけもない。ターゲット設定、コンセプトづくり、設計プランなどを決める際には上層部、メンバー、協力会社のそれぞれの間で必ずと言っていいほど衝突があった。

良いものを作るためにギリギリまでぶつかり合う。

「複数メンバーでデザインを検討していたので、意見がぶつかって議論が白熱したことは頻繁にありました。でもそれは全員が本気でこの案件のことを考えていたからだと思います。今回はディレクションを任せられていたこともあり、皆の意見を調整しながらも妥協のない空間を作り上げることに必死でした。」と土居は言う。

コストの面は友藤が担当した。
「限られた中でフルスペックのデザインが実現できるようにしましたけど、議論を尽くしたからこそ、誰もが納得して進めることができたと思います」

そんなみんなの熱量から紡ぎ出された方向性は『探求心』と『癒し』。そして『京都のろーじ(路地)』を軸に新しい京都らしさを表現すること。当初の案のゲストハウスではなく、インバウンドのカップルや夫婦を対象としたデザイン性の高いブティックホテルにすることに決まった。

しかし、デザインとコストは最後の最後まで紆余曲折があった。家具は突板かメラミンか。植栽を入れたいがランニングコストとの兼ね合いも懸念される。庭に向けた大きなサッシは譲れない。

友藤は「オープン3か月前になっても決まっていないことがあったり、あの状態で建築確認検査を受けてよく通ったなと」と振り返る。

土居は「僕が調整したんですよ笑。でも友藤さんが予算の中でちゃんと思っているものがつくれるように徹底的に最後まで調整してくれましたからね」とねぎらう。

本当にギリギリまでみんなが良いものをつくろうとこだわり抜いていった。そして竣工の日を迎えた。

関わった人みんなに誇りが生まれた。

陽の移ろいと共に表情が変化するファサードは陰影礼讃を表現した。何度も試作を重ねたこだわりだ。客室の坪庭には苔をあしらい、共用部は京都の路地を再現。日本人の美意識を随所に取り入れた。

「京都の歴史や文化を凝縮させたホテルができました。京都はワンルームマンションのような宿がたくさん建っていて、日本の文化が失われていく危機感がありました。観光客は残念な思いをしてると思うんです。そんな状況に一石を投じるようなホテルを作りたかった。」と土居は言う。

友藤は「地域に寄与できたかなと思っています。京都の設計会社さんと施工会社さんと作り、ホテルを起点に周りのお店へ行っていただける。町内会から、使わせてもらえない?という声もあります。地元学生さんとのコラボ企画も準備中です。作って終わりでなく、これからも京都の街に貢献していきたい」と語る。

さらにこう続けた。「あの土地にあの建物を建て、運営もして地域に貢献する。それを思いつき、制約の中で最大限の品質を追求した。これはGOOD PLACEだからできたことだし、ゼロからここまでできたのは俺だからだ、と思っています笑」

土居も「いやいや、僕だからできたんですよ笑。まぁ冗談はさておき、僕らみたいな個性の強いメンバーが妥協せず真剣にぶつかり合ったからこその結果なのかもしれませんね」と話す。

「もちろん建築も事業も一人じゃできないと思ってる。成功要因はぶつかり合いと調整力かもしれないね」と友藤は笑った。

HOTEL KYOTOLOGYは会社にとっても、メンバーにとっても、そして京都にとっても誇りを生んだプロジェクトとなった。

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