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チームで協働することで達成した、初めての大規模プロジェクト

PROJECT 05 チームで協働することで達成した、初めての大規模プロジェクト 株式会社JSOL

新しい働き方に対応した生産性を高めるオフィスのコンセプト

自然豊かな皇居のお濠に面した九段下エリアに、2022年に竣工した「九段会館テラス」。旧九段会館の伝統を引き継ぎながら、次世代のオフィスビルへと生まれ変わった建物内に、ITソリューション事業を展開する株式会社JSOLの東京本社オフィスが同年11月にオープンした。さかのぼること約1年前の2021年の10月、同社の新しいオフィス空間を提案するコンペに、ストラテジックデザイン1課の柿島美里と硯稚芸は、プロジェクトチームの設計者として参加した。

コロナ禍をうけて出社率が30%まで下がり、組織間のコミュニケーション不足に課題を感じていたという同社が求めていたのは、アフターコロナの働き方に対応した新しいオフィスのあり方だった。プロポーザルに向けて立案した企画の方向性について柿島は語る。

「移転前のJSOL様のオフィスは人がまばらな状態で、働き方に大きな変化が訪れているのを感じました。提案に際しては、コミュニケーションの課題を解決することはもちろん、ハイブリッドワークを前提とした新しい働き方を実現することを軸にコンセプトをまとめていきました」

高い専門性を誇る多様なサービスを提供しているJSOLは、『人』を強みに事業を展開している。プロフェッショナル集団として数多くのITエンジニアやコンサルタントが活躍する同社にとって、社員のパフォーマンスは事業活動に直結するため、移転後の生産性の向上は外せない要件だった。当社のプロジェクトチームは、新しいオフィスでの働き方を『協働』『集中』『リラックス』に分類し、それぞれのエリアをシームレスに繋げるアイデアを提案。各エリアの役割について柿島が解説する。

「『集中』のための執務エリアでは、『ABW(Activity-BasedWorking)』の考え方を採用することで、その日の気分や仕事内容に合わせて自由に働く場所が選択できるレイアウトを提案しました。『リラックス』のためには気持ちの良い窓際の空間にカフェスペースを設置し、『協働』を実現するオープンイベントスペースをつくることで、オフィスに訪れる外部の方とのコミュニケーションを創出するセミナーやレセプションを開催できる空間のアイデアに取り入れています」

メイン設計者が育児休業を取得。プロジェクトのバトンを受け取る

無事にクライアントからの正式な依頼を受けたプロジェクトチームは、半年の期間をかけてじっくりとコンセプトを練り上げたという。その後、基本設計と実施設計を終え、着工に向けて歩を進めている中で、プロジェクト初期段階からチームを牽引していた男性設計者が半年間の育児休業に入ることになり、柿島がプロジェクトのメイン設計者を引き継ぐことになった。当時の心境について柿島は話す。

「当社の中でも大規模なプロジェクトだったので、メイン担当になることの不安や戸惑いはありましたが、それよりもまず嬉しい気持ちが大きかったですね。男女問わず育児に参加する社会が当たり前になってほしいですし、私にとってそれが理想の家庭像なので、素直に気持ちよく送り出すことができました」

体制変更となったものの、すでに軸となるコンセプトは固まっていたため、方向性に迷うことなくプロジェクトは順調に進行。設計者の手が一人分減ったことで、着工に向けた作図量の多さに苦労はあったようだが、施工管理のメンバーの助けを借りることで、結果的にブラッシュアップに繋げることができたと硯は振り返る。

「現場では、私たち設計者が意図した通りにいかない箇所も出てくるので、施工管理のメンバーと話しながら意匠変更なども含めたさまざまな検討を進めました。朝から晩まで作図とチェックの日々が続きましたが、現場目線から色々提案してもらえたおかげで良くなった部分もあり、かなり助けられましたね」

デザインコンセプト「PARK」を体現

生産性を向上させるオフィス構築には、ロジカルで合理的なデザインだけではなく、使い手にとって快適な空間であることが重要だと柿島は話す。今回のプロジェクトにおいては、「PARK」をデザインコンセプトに掲げ、九段会館テラスの周辺環境を活かした快適なオフィスに仕上げるアイデアが採用された。窓から皇居や武道館を臨むことができる緑豊かな借景をオフィスの中に取り込むように、随所に生木や観葉植物を配置し、インテリアには自然素材を多用した。

「いつもお世話になっている協力会社の方に、窓際やカフェスペースのグリーンをお願いしていたのですが、見たことのない種類の植物や流木、玉砂利、苔などを用いながら有機的にしつらえていただき、おかげで生き生きとした空間にすることができたと思います」

造作家具を担当した硯は、ABWエリアと執務エリアを区切る役割を果たす飾り棚のデザインにこだわったという。インテリアコーディネートを手がける社内の部署とコラボレーションしながら、窓の外の景色と呼応するように四季の彩をディスプレイで表現した。

「あくまで働きやすいオフィスを構築することが前提にあるものの、空間の中で一箇所は意匠性やデザインのクオリティにこだわった見せ場をつくりたいと思っているんです。このプロジェクトでは飾り棚を見栄え良く仕上げるために、施工管理のメンバーと支柱の細さと強度のバランスについて協議しながらデザインにこだわりました」

大規模プロジェクトだからこそ得られる自信

中国でのロックダウンの影響による資材調達のトラブルはあったものの、大きな遅れや問題が生じることなく5ヶ月間の工事は無事竣工。育休中のメンバーに竣工後の写真を送った際には、その仕上がりに喜んでいたという。最後に、メイン設計者をやり遂げた柿島に今後の目標を聞くと、今回のプロジェクトへの手応えを感じさせる答えが返ってきた。

「これだけ大規模の案件をメインで担当したのは初めてだったので大変でしたが、無事に達成できたことで力をつけることができたと思います。今回のような大型プロジェクトの場合、複数の設計者とブレストしながら進めていくので、より良いデザインを、メンバー間でブラッシュアップしながら設計できる楽しさがあります。今後も大きな案件に挑戦していきたいと思っています」

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