総務BPOとは?派遣との違いや比較、導入メリットを徹底解説
総務BPOとは、総務に関わる業務プロセスを外部の専門会社に委託し、効率化・改善を図る取り組みです。人材派遣と異なり、業務設計からマネジメント、改善提案まで一括で任せられます。導入企業では採用コスト削減、属人化解消、残業時間の縮減といった効果があります。
総務部門は、オフィス環境の整備から防災対策、福利厚生の運用まで、企業活動の「土台」ともいえる役割を担っています。一方で、事業拡大や組織再編にともない業務量は増え続け、「人手不足」「属人化」「残業の常態化」に悩む企業も少なくありません。
こうした背景から注目されているのが「総務BPO」です。ここでは、総務BPOの概要やアウトソーシング・人材派遣との違い、メリット・デメリット、導入の流れや適したタイミング、サービス選定のポイント、活用事例までを解説します。
目次
1. 総務BPOとは?業務委託で効率化と改善を実現する仕組み
総務BPO(Business Process Outsourcing)は、総務に関わる一連の業務プロセスを外部の専門会社に委託し、改善や効率化を図る取り組みです。委託できる業務は備品管理、窓口対応、データ入力などを依頼でき、単なる作業代行ではなく、現状の課題整理から運用設計、改善サイクルの構築までを含めて伴走してもらえるのが特徴です。
総務の仕事は業務範囲が広い一方、担当人数や時間には当然限りがあります。そのため、事業拡大や組織変革によって業務量が増えるほど、本来注力すべき業務に時間を割けない状況が起こりやすい部門ともいえるでしょう。
BPOを活用してノンコア業務を専門会社に預けることで、社内の総務担当者は「働きやすい環境づくり」「制度設計」「リスクマネジメント」など、戦略性の高いコア業務に集中しやすくなります。これがBPOを活用するメリットです。
2. BPOとアウトソーシングや人材派遣との違いとは
BPOは、外部リソースを活用する点ではアウトソーシングや人材派遣と共通していますが、目的や進め方に明確な違いがあります。総務部門で外部の力を取り入れる際には、それぞれの特徴を理解したうえで、自社の依頼したい業務範囲や求める成果に合った手法を選ぶことが大切です。
2-1. BPOとアウトソーシングの違い
BPOはアウトソーシングの一形態です。
ただし、単なる業務委託の範囲を超え、業務プロセス全体の最適化を目指す点が異なります。
アウトソーシングは、特定の業務を外部に委託し、業務負荷を軽減したり専門性を補完したりするために活用されます。
一方、BPOは業務プロセス全体の見直し・改善も委託内容に含まれます。
現状の整理から運用設計、定期的な見直しまでをプロに任せられます。
総務の業務標準化や効率化を進めたい企業に向いているといえるでしょう。
総務におけるBPOでは、単に人手不足を補うだけではありません。
以下のようなプロジェクト型の取り組みを並行して進めるケースが多く見られます。
- 問い合わせ対応の導線を整理する
- マニュアルやルールを標準化する
- システムやツールの活用を検討する
結果として、総務部門だけでなく会社全体の業務プロセスや働き方が効率化されます。
働きやすい環境へとつながっていきます。
2-2. BPOと人材派遣の違い
BPOと人材派遣は、契約形態や業務の指示者が異なります。
人材派遣の場合:
派遣会社に所属するスタッフが派遣先企業の職場で業務を行います。日々の指示やシフト管理、業務の優先順位付けは派遣先企業が担います。
BPOの場合:
委託した業務の設計や人員配置、日々のマネジメントを含めてBPO会社が一括で引き受けます。
総務におけるBPOでは、スーパーバイザーが業務の進捗管理や品質管理、改善提案まで担います。
「自社の総務部門が日々の指示に追われてしまう」状況を避けやすくなるのが利点です。
一方、人材派遣は柔軟に人員を増減しやすいメリットがあります。
ただし、「指示を出す人」「現場の業務設計をする人」が社内に必要です。
マネジメントの負荷は一定程度残る点は押さえておきましょう。
◼︎ BPO・アウトソーシング・人材派遣の比較
| 観点 | BPO | アウトソーシング | 人材派遣 |
|---|---|---|---|
| 契約形態 | 業務プロセス単位の業務委託契約 | 特定業務の業務委託契約 | 労働者派遣契約 |
| 主な目的 | 業務改善・標準化・効率化 | 業務負荷の軽減・専門性の補完 | 一時的な増員・人手不足の補完 |
| 業務範囲 | 企画・設計〜運用・改善までを一括委託 | 実務中心の特定業務を委託 | 担当者単位で業務を実施 |
| 指示系統 | 委託先のスーパーバイザーが管理 | 委託先が管理 | 自社担当者が派遣スタッフに指示 |
| 改善アプローチ | 定期的な振り返りと改善提案が前提 | 既存業務の維持が中心 | 個人のスキルに依存 |
| コストの捉え方 | 設計・管理・運用を含めた総額 | 業務量に応じて変動 | 時給×稼働時間が基本 |
3. 総務BPOの5つのメリットとは?コスト削減から属人化解消まで
総務BPOを活用することで、採用・教育コストの抑制や業務品質の向上、属人化リスクの軽減など、総務部門が抱えがちな課題をまとめて見直しやすくなります。単に「人を増やす」だけでなく、業務プロセスそのものを整えることで、会社全体の生産性向上やBCP(事業継続計画)への貢献にもつながります。

総務BPOに委託する5つのメリット
3-1. 採用・教育コストを削減できる
BPOでは、業務に必要な人材の採用や育成、日々のシフト管理を委託先が担います。
自社で新たに人材を採用したり、OJTの工数を確保したりする手間が減ります。
採用・育成に関する負担を抑えやすくなるのがメリットです。
総務は求められるスキルの幅が広く、採用要件を明確にしづらい領域です。
「採用後にイメージと異なる」というミスマッチが起きることも少なくありません。
総務BPOなら、必要なスキルに応じて体制を柔軟に調整してもらえます。
ミスマッチのリスクを下げながら、必要な時期に必要なリソースを確保しやすくなります。
3-2. 品質の向上につながる
総務BPOでは、総務業務に精通した専門チームが担当するため、手続きの正確性や対応スピードの向上が期待できます。総務コンシェルジュやサービスカウンターのように窓口機能をまとめて担う場合、相談先が分かりにくいといった従業員の不便さが解消され、問い合わせ対応の流れも整理しやすくなります。
また、BPO会社が他社への支援で蓄積してきた知見を活用できる点もBPOのメリットです。他社で効果のあった運用ルールやツールの使い方を、自社の状況に合わせて取り入れられるため、自社だけでは気づきにくい改善のヒントを得られます。
3-3. 自社従業員の成長機会が広がる
社内の総務担当者が日々の問い合わせ対応やルーティン業務に追われ続けると、「この人がいないと回らない」という状態が生まれ、人事異動や新しい役割への挑戦が難しくなることがあります。
BPOに定型業務を任せることで、総務担当者は企画立案や業務改善といった上流の役割にシフトしやすくなります。制度企画や働き方の改善、リスク管理など、より専門性の高い業務に時間を割けるようになり、本人のスキルアップにもつながります。
結果として、総務部門内でのキャリアの幅が広がるだけでなく、将来的に他部門への異動や新たな役割への挑戦もしやすくなります。
3-4. 注力業務に集中できる
総務BPOの大きな目的のひとつは、定型的なノンコア業務を委託し、社内のリソースを本来注力すべき業務へ向けられる環境をつくることです。外部に任せられる業務を整理することで、総務だけでなく経営や他部門も中長期的な取り組みに時間を割きやすくなります。
たとえば、オフィス移転やレイアウト変更、制度改定といったプロジェクト、働き方の見直し、人材育成や組織開発など、時間も人手もかかる重要課題や、後回しになりがちなテーマに取り組む余裕が生まれます。結果として、総務が企業価値向上に直結する領域へ、より深く関われるようになります。
3-5. 属人化や退職のリスク軽減によりBCPに貢献できる
総務は、担当者固有のやり方に依存しやすく、異動や退職がそのまま業務リスクにつながる領域です。BPOを活用することで業務フローの整理やマニュアル化を通じて標準化が進み、誰が担当しても同じレベルで対応できる体制を整えられるのです。
また、人材派遣と異なり委託先の中で複数名が業務内容を把握しているケースも多いため、欠勤や長期不在といった突発的な状況にも対応しやすくなります。こうした体制は、災害や感染症などの不測の事態に備えるBCP(事業継続計画)の観点でも有効で、「人に依存しない総務運営」を実現する一助となります。
4. 総務BPOに委託するデメリットは4つ
総務BPOには多くのメリットがある一方で、コストやマネジメントの関わり方、導入時の負荷など、事前に理解しておくべき注意点も存在します。
ここでは、よく挙げられるポイントを整理したうえで、「どのように捉えればよいか」という視点もあわせて解説します。

総務BPOに委託する4つのデメリット
4-1. 一般的に人材派遣より割高に見えやすい
人件費の面だけを見ると、人材派遣のほうが低コストに感じられる場合があります。
しかし、派遣社員の業務管理や育成、日々の指示出しは自社側が担う必要があります。
その分の社内工数が“見えないコスト”として発生する点は見落とせません。
一方、BPOは業務委託契約です。
業務設計や品質管理、改善提案といった管理費用も含めた金額で提示されます。
金額だけを見ると割高に思えるかもしれません。
ただし、運用にかかる負荷や品質担保まで含めて考えると違った見え方になります。
BPOと人材派遣の総コストに大きな差が出ないケースも少なくありません。
判断のポイント:
「どちらが安いか」だけで判断せず、以下の観点で比較することが重要です。
- 自社がどこまで運用を担うか
- 委託先がどの程度マネジメントや改善まで支援してくれるか
依頼したい内容や自社の体制に合ったスキームを選ぶことが、最適なコストにつながります。
4-2. 直接のマネジメントができない場面がある
BPOは業務委託契約に基づくため、現場スタッフに対して発注企業が直接指示を出したり、人員配置を変更したりすると、偽装請負に該当するおそれがあります。業務の進め方やプロセスの調整は、委託先のスーパーバイザー(BPO会社の担当プロジェクトリーダー)を通じて行う必要があり、細かい指示を自社で行いたい企業にとっては、当初は運用しづらさを感じることもあります。
ただし、この仕組みを「マネジメントも含めて委託する前提」と捉えることで、総務部門が上流工程に集中しやすくなるメリットもあります。日々の指示ではなく、「どのような状態を実現したいか」や「何を優先したいか」を委託先と共有しながら役割分担を整えていくイメージを持てると、この特性をスムーズに活かせます。
4-3. 導入段階での負荷がある
BPOを導入する際には、現状業務の棚卸しやフロー整理、マニュアルの整備、社内周知など、一定の準備が必要になります。短期的には「工数が増えた」と感じる場面が出ることもありますが、業務を可視化し、標準化を進めるうえでは欠かせないプロセスです。
むしろ、この準備期間を通じて、これまで曖昧だった手順や担当者ごとに異なっていた進め方を見直す機会が生まれます。業務の目的や優先順位が整理されれば、その後の運用や改善も進めやすくなります。導入時の負荷と中長期的な効果を比較しながら、無理のないスケジュールで進めることが重要です。
4-4. 契約内容によって業務範囲が限られる場合がある
BPOは、委託する業務内容や範囲を明確に定め契約するのが一般的です。そのため、契約に含まれない業務が後から発生した場合には、別途相談やスコープの見直しが必要になります。「その場で柔軟に何でも依頼できる」という運用ではない点は、あらかじめ社内でも共有しておくとスムーズです。
ただし、業務範囲を明確にしておくことは、期待値のずれを防ぎ、品質や運用ルールを安定させるという観点では大きなメリットでもあります。総務業務のBPOを検討する際には、現在の業務だけでなく、将来的に発生しそうな業務も含めて相談し、柔軟に対応できる体制があるか、スコープ変更の手続きが分かりやすいかといった点も確認しておくと安心です。
5. 総務BPOで委託できる15の業務一覧【窓口・事務・防災まで】
BPOの対象となる総務の業務は、受付や代表電話、郵便物対応といった窓口業務から、備品管理、各種台帳管理、防災関連業務まで多岐にわたります。総務BPOサービスを提供する各社の事例を見ると、総務部門が担っている日常的な業務の多くが委託対象となっていることが分かります。

総務BPOに委託できる業務例一覧
5-1. 窓口業務
来客受付や代表電話、総務カウンターでの対面対応など、従業員や外部からの問い合わせを受け付ける窓口業務は、総務BPOの典型的な委託対象です。受付の案内や会議室の案内、入館証の管理などを一体的に任せることで、来訪者・従業員双方にとって分かりやすい導線を整えやすくなります。
5-2. 事務業務
社内申請書類の処理、各種台帳の更新、請求処理や経費関連の取りまとめなど、日常的に発生する事務業務も総務BPOで委託されることが多い領域です。業務フローを整理し、必要なチェック項目を標準化することで、ミスの削減や処理スピードの安定化につながります。
5-3. 秘書業務
役員や部門長のスケジュール調整、出張手配、会議セッティング、来客対応などの秘書業務を、総務BPOと組み合わせて委託するケースもあります。秘書専任の人材を社内で確保するのが難しい場合でも、必要なスキルを持った人材をチームの一員としてアサインしてもらうことで、負荷の平準化が期待できるでしょう。
5-4. メールルーム業務
郵便物や宅配便の受け取り・仕分け・配布、社内便の集配といったメールルーム業務も、総務BPOでよく扱われる業務です。拠点数やフロア構成に応じてルートや時間帯を設計し直すことで、配達ミスや滞留を減らし、従業員が郵便物の所在を把握しやすい運用に整えることができます。
5-5. オフィス運用管理
会議室やフリースペースの運用ルール整備、レイアウト変更時のサポート、入退室管理、オフィス環境に関する日常的な点検など、オフィス運用に関わる業務を総合的に任せるケースもあります。レイアウト変更や増床・縮小などのプロジェクトとあわせて総務BPOを導入することで、「新しい働き方に合った運用ルール」をセットで整備しやすくなります。
5-6. オフィス備品・消耗品・什器管理
文房具やコピー用紙などの消耗品管理、什器の在庫・配置管理、備品購入の窓口・発注管理なども、総務BPOに委託されることが多い業務です。在庫基準や発注ルールを明確にすることで、品切れや過剰在庫の防止につながり、購買実績の見える化にも役立ちます。
5-7. 季節対応業務
季節ごとに発生する備品の入れ替えや装飾の更新、年末年始の挨拶状の準備など、時期に応じて必要となる業務も総務BPOの対象としやすい領域です。発生頻度は高くないものの、抜け漏れや対応の遅れが社内外の印象に影響することがあります。
ルールやスケジュールを整理しておくことで、毎年発生する作業を標準化しやすくなります。
5-8. 慶弔関連業務
慶弔見舞金、祝電・供花の手配、弔事に伴う社内対応など、従業員のライフイベントに関わる業務は、対応の丁寧さが企業の印象を大きく左右する領域です。規定やフローを明確にしておくことで、発生時に迅速かつ正確に手続きできる体制を整えられます。
総務BPOでは、必要な情報の取りまとめや手配の代行を含め、負荷の大きい部分を任せることができ、社内の抜け漏れリスクを減らすことができます。標準化しづらいと思われがちな領域ですが、運用ルールを整理することで委託しやすくなります。
5-9. 従業員からの問い合わせ対応
社内規程や各種手続き、福利厚生、設備利用などに関する従業員からの問い合わせを一元的に受け付ける「総務サービスカウンター」の運営も、総務BPOの代表的な領域です。FAQやナレッジを蓄積しながら対応してくれるので、同じ質問への回答効率を高めつつ、従業員の利便性向上にもつながります。
5-10. 社内規定や名簿などの更新
社内規程の改定にともなう周知や、社員名簿・座席表・組織図などの情報更新、各種台帳管理といった業務も、総務BPOの対象として取り組まれています。更新のタイミングや責任者を明確にし、変更履歴を残す運用を整えることで、情報の正確性と検索性を高めることができます。
5-11. 車両関連業務
社用車の貸し出し管理、定期点検や整備の手配、駐車場・車両台帳の管理など、車両に関わる一連の業務は、抜け漏れが起きると事故やトラブルにつながりやすい領域です。
総務BPOを活用することで、点検スケジュールや利用ルールを整理し、運用を標準化しやすくなります。利用予約の取りまとめや業者との調整を委託することで担当者の負荷を抑えつつ、管理の質を一定に保つことができます。
5-12. 出張管理業務
出張の交通・宿泊手配、社内ルールに基づく申請の確認、精算サポートなど、出張に付随する業務は細かな確認作業が多く、担当者によって対応に差が出やすい領域です。
総務BPOを導入すれば、社内規定と外部サービスの条件を踏まえた標準フローを設計でき、対応のばらつきを抑えられます。また、事前申請から手配、精算までの一連のプロセスを委託することで、コスト管理と業務効率化の両立につなげやすくなります。
5-13. 通信機器管理
社用スマートフォン、PC、Wi-Fiルーター、複合機といった通信機器の管理は、台帳の更新や利用ルールの整備、故障時の保守手配など、細かな実務が多い領域です。
総務BPOを活用することで、機器の貸与・返却フローを標準化し、更新時期の管理や業者との調整を効率化しやすくなります。担当者の負荷を抑えつつ、機器管理の精度を一定に保つ体制を整えられます。
5-14. 防災・BCP関連業務
防災備蓄品の管理、避難訓練の計画・運営、BCPに沿った体制整備などは、平常時には優先度が下がりやすい一方、災害時には企業の意思決定や安全確保に直結する重要な業務です。
総務BPOを活用し、備蓄品の定期確認や更新スケジュールの管理、訓練の運営サポートなどを委託することで、平時から計画的に準備を進める仕組みを作りやすくなります。属人化しやすい領域でもあるため、標準化との相性が良い点も特徴です。
5-15. 福利厚生関連業務
社内の福利厚生メニューの運用は、利用申請の受付や制度説明、ベンダーとの調整など、細かな対応が多い業務です。担当者の異動や繁忙期によって対応が遅れると、従業員満足度に影響することもあります。
総務BPOを導入すれば、申請フローや問い合わせ対応を整理し、制度運用の効率化を図ることができます。外部サービスとの連携や改善提案も委託しやすくなるため、制度の活用促進にもつながるでしょう。
6. 総務BPO導入の流れ|6つのステップと期間の目安
総務BPOの導入は、6つのステップで進みます。
準備期間から安定運用期間まで、約6〜8カ月が目安です。
段階ごとにやるべきことが明確なため、業務移管時の混乱を抑えられます。
スムーズに体制を立ち上げられる点が特徴です。
| ステップ | 期間目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 準備期間 | 2〜3カ月 | 業務内容の決定、目標設定、体制づくり |
| 引き継ぎ期間 | 約1カ月 | 業務移管、社内周知、サービス開始 |
| 習熟期間 | 約1カ月 | 単独遂行、マニュアル整備 |
| 評価期間 | 約1カ月 | 品質評価、継続判断 |
| 安定運用期間 | 約1カ月 | 改善着手、運用安定化 |
| 業務改善 | 継続 | 改善サイクルの継続 |
6-1. 準備期間(2〜3カ月)
業務内容や目標を固め、体制の土台をつくる期間
導入の最初のステップは、委託する業務内容やプロジェクトの目標を明確にすることです。あわせて、対応するメンバーの選定や体制づくりも進めます。
- 業務内容の決定
- 目標設定
- 対応メンバーの人選
- スーパーバイザー(BPO会社の担当プロジェクトリーダー)による課題ヒアリング・プロセス設計
この期間に方針を丁寧に整理しておくことで、以降のプロセスがスムーズに進みやすくなります。
6-2. 引き継ぎ期間(約1カ月)
対象業務の移管と、社内への認知を進める期間
準備が整ったら、対象業務の引き継ぎを開始します。引き継ぎと並行して、社内の従業員に窓口や新しい運用フローを認知してもらうための周知活動も行われます。
- 対象業務の引き継ぎ
- 社内窓口としての認知
- 常駐スタッフによるサービス開始
- 月次レポート提出の開始
この時期から常駐スタッフがサービスを開始し、月次レポートなどの定期報告もスタートします。現場担当者とのコミュニケーションが多く発生し、社内で「問い合わせ先がどこか」「新しい運用ルールは何か」を認知してもらうフェーズになります。
6-3. 習熟期間(約1カ月)
業務の単独遂行と標準化を進める期間
引き継ぎ後は、委託先のスタッフが業務を単独で遂行できる状態を目指します。基本となるマニュアルを整備しながら、他の業務への展開準備も進めていきます。
- 業務の単独遂行
- 業務横展開の準備
- 基本部分のマニュアル作成
この期間に、体制が安定していくため、日次のコミュニケーション量が最も多い時期になります。運用の癖やルールをすり合わせながら、標準化の基盤を整えます。
6-4. 評価期間(約1カ月)
業務品質の評価と、今後の方針決定を行う期間
業務が一定レベルで回り始めた段階で、業務量や品質を定量的に評価します。
- 支援先従業員による定量評価
- 継続契約の有無決定
評価期間は、「委託したことでどのような変化があったか」を確認する大切なタイミングです。業務量・品質・満足度・改善余地などを総合的に評価して、継続する体制かどうかを判断します。
6-5. 安定運用期間(約1カ月)
改善に着手し、運用の骨格を固める期間
評価期間を経て契約継続が決まると、運用をさらに磨いていくフェーズに入ります。
- 業務改善の着手
- マニュアル全体の完成
- 日々の運用サイクルの安定化
ここで標準化が形になり、担当者に依存しない運用体制が整っていきます。
6-6. 業務改善(継続期間)
改善サイクルを回し続ける期間
BPOは導入して終わりではなく、継続的に改善を重ね、業務効率や品質を向上させる戦略的な一面があります。
アンケートや定期レポートを活用しながら、運用ルールの見直しや業務再構築、マニュアル更新を行い、より良い体制へアップデートし続けます。
必要に応じて新しい業務の追加やスコープ調整も行われ、長期的なパートナーシップとして総務部門を支えていきます。
7. 総務BPOはいつ導入すべき?4つの最適タイミング
総務BPOは、人員不足を補うためだけのものではなく、総務部門の体制を中長期の視点で見直したい場面でも検討されるケースが増えています。
総務の役割が「守り」から「攻め」へと広がるなかで、属人化の解消や業務の標準化、専門性の補完を目的に総務BPOを活用する企業も多くみられます。
ここでは、総務BPOの導入を検討しやすい代表的なタイミングを整理します。

総務BPO導入に適した4つのタイミング
7-1. 他社の知見やマンパワーが必要な時
企業や総務部門のミッションが変化し、従業員の働きやすさ向上や業務プロセスの見直しなど、より上流のテーマに取り組む必要が出てきたタイミングは、総務BPOが力を発揮しやすい局面です。自社だけでは十分なノウハウや人手が確保できない場合でも、複数企業を支援してきた総務BPO会社と組むことで、総務の新しい役割を形にしやすくなります。
その際、「どんな総務組織を目指すのか」という方向性を共有しながら、委託範囲や体制を一緒に考えられるパートナーを選ぶことが重要です。
7-2. 業務の定型化・標準化が必要な時
事業拡大や組織の変化を経て、拠点ごとに異なるルールや対応方法を統一したいと感じた時も、総務BPOは有効です。業務棚卸しやマニュアル整備、ワークフローの標準化などをプロジェクトとして進められるため、単なる業務代行以上の効果が期待できます。
標準化は属人化の解消にもつながり、BCPの観点でも重要です。総務BPOの導入を機に、「やめる業務」「簡略化する業務」「仕組み化・自動化する業務」を整理する企業も多く、業務改革のきっかけになりやすいタイミングです。
7-3. オフィス移転を控えて業務が増大する時
オフィス移転やレイアウト変更は、総務に大きな負荷がかかるイベントです。移転準備だけでなく、社内手続き・工事調整・レイアウト検討・告知対応など、多岐にわたる業務が短期間に集中します。
こうした状況では、日常の総務業務をBPOに任せることで、総務部門は移転プロジェクトや働き方の再設計といった上流のテーマに集中しやすくなります。移転後のオフィス運用まで見据えて伴走してくれるBPO会社を選べば、「移転を機に働き方を見直す」という動きとも連動させやすくなります。
7-4. 従業員の残業が常態化している時
総務部門の残業が慢性的に続いている場合、単純な業務量の多さだけでなく、属人化や業務の非効率など、複数の要因が重なっていることが多くあります。BPOを通じて業務棚卸しやプロセスの見直しを行うことで、表面的な人手不足への対応ではなく、根本原因の特定と改善につなげやすくなります。
「攻めの総務」や「戦略総務」という言葉が注目される中で、新たなミッションが加わり、今まで以上に時間が不足している企業も増えています。
このような「戦略総務」の考え方や、どのような役割を担うべきかについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
戦略総務の役割とは?注目されている理由や推進のポイントを紹介
こうした状況こそ、総務BPOを活用して体制を整える良いタイミングといえるでしょう。
8. 総務BPOの選び方|失敗しない3つのポイント
総務BPOを検討する際は、「どの会社に依頼するか」だけでなく、「何を任せ、何を社内で担うのか・注力するのか」「どのような関係性で伴走してもらうのか」といった観点も含めて考えることが大切です。
サービス選定時に押さえておきたい代表的なポイントを紹介します。
- 8-1. 導入目的を明確にする
- 8-2. 委託する業務を明確にする
- 8-3. 総務部門だけでなく会社全体の視点で考える
8-1. 導入目的を明確にする
総務BPOを検討する際は、「なんのために導入するのか」を具体的に整理することが出発点となります。単に人手を補いたいのか、業務を標準化したいのか、働き方改革やオフィス運用の見直しにつなげたいのか——重点を置くテーマによって、必要な支援内容や事業者の得意領域は大きく変わります。また、テーマによっては人材派遣やアウトソーシングも含めて、本当に自社に合っている委託先がみえてきます。
目的が整理されていれば、RFP(提案依頼書)や打ち合わせにおいて「どのような状態を実現したいのか」を共有しやすくなり、提案内容の比較もしやすくなります。導入目的は、選定プロセス全体の軸となる要素といえます。
8-2. 委託する業務を明確にする
次に、委託を検討している業務を具体的に整理します。業務名だけでなく、「どのくらいの頻度で発生しているか」「どのくらいの時間がかかっているか」「現在の課題は何か」といった情報も含めて共有できると、委託先との議論がスムーズになります。
GOOD PLACEでは、業務の棚卸しや業務整理のコンサルティングを通じて、「どこまでを総務BPOに切り出すか」「どのように標準化していくか」といった設計から支援しています。総務BPOへの委託内容の検討段階から相談できるパートナーを選ぶことで、「そもそも何を任せるべきか」という問いにも一緒に向き合うことができます。
8-3. 総務部門だけでなく会社全体の視点で考える
総務BPOは、総務部門の負荷軽減だけを目的とした取り組みではありません。問い合わせ窓口の一元化やオフィス環境の改善、防災対策の強化などを通じて、従業員の働きやすさや企業全体の生産性にも影響する取り組みです。そのため、選定の際には、総務部門だけでなく経営や人事、各部門のステークホルダーの視点も踏まえて検討することが重要です。
また、BPO事業者側が総務だけでなくオフィス構築やバックオフィス全体の業務に知見を持っているかどうかも、長期的なパートナーシップを考えるうえでの判断材料になります。将来的なオフィス移転や組織再編も視野に入れながら相談できると、総務BPOを単発の施策ではなく、中期的な変革の一部として位置づけることができます。
9. 総務BPOの活用事例
最後に、総務BPO・総務アウトソーシングを活用している企業の事例として、GOOD PLACEが支援している株式会社日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)様の取り組みを紹介します。日々の総務業務の効率化だけでなく、組織づくりや社内コミュニケーションの向上といった領域にも広がりを見せている点が特徴です。
9-1. 株式会社日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)様:窓口業務を委託し企画業務に注力
株式会社日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)様は、人材育成支援や手帳・書籍の発行などを手がける企業です。「学びのデザイン」と「時間<とき>デザイン」という2つのドメインを軸に、多様な事業を展開する中で、本社オフィスの総務サービスカウンターには日々多くの問い合わせや手続き依頼が集まっていました。
総務サービスカウンター業務の常駐型アウトソーシングを通じて、業務改善だけでなく、社内のコミュニケーションや働き方の変化にもつなげていくことが目指されました。
現在、JMAM本社の総務サービスカウンターには、GOOD PLACEのスタッフが常駐し、従業員からの問い合わせ対応や各種手続きの窓口業務を担っています。アウトソーシングを通じて、窓口業務の標準化と見える化を進めながら、総務部門がより企画的な業務に時間を使える体制づくりが進められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入前の課題 | 総務サービスカウンターに業務が集中し、問い合わせ対応や手続きが属人化しがちだった |
| 導入後の変化 | 窓口業務の標準化が進み、総務部門が業務改善や社内改革に関わる時間を確保できるようになった |
このように、総務BPO・アウトソーシングは、単に業務を代行するだけでなく、「総務の役割をどうアップデートしていくか」という観点からも、組織づくりに深く関わっていく取り組みとなり得ます。

左から株式会社日本能率協会マネジメントセンター長濱様、出畑様、小路様。株式会社GOOD PLACE 常駐スタッフの齋藤、大出、スーパーバイザー 浦 写真:UKYO KOREEDA
詳しく見る:株式会社日本能率協会マネジメントセンターの総務BPO活用事例はこちら
10. まとめ:総務BPOの導入は「総務の役割」を再定義するチャンス
総務BPOは、日々の総務業務を効率化するだけでなく、組織づくりや働きやすい環境の整備など、企業全体の価値向上につながる取り組みです。アウトソーシングや人材派遣と比較すると、業務設計やマネジメント、改善提案までを含めて任せられる点が大きな特徴といえます。
GOOD PLACEでは、単なる作業代行ではなく、総務をはじめとしたバックオフィス部門のパートナーとして中長期的な視点で伴走する体制を整えています。現場を支える常駐スタッフに加え、プロジェクト全体を統括するスーパーバイザーが担当します。導入時の設計はもちろん、運用開始後も継続的にサポートし、体制づくりが安定するよう伴走します。
運用段階では、定期的な業務の振り返りを行い、改善余地や業務効率の変化を可視化しています。また、日々の気づきをもとに改善提案を行うほか、他のクライアント企業で得られた知見や運用ノウハウも積極的にシェアし、より良い運用につなげています。
さらに、総務領域にとどまらず、部署横断のプロジェクトや組織全体の課題解決にも対応しています。決められた業務の範囲に縛られず、お客さまの事業や業務推進に必要な支援を柔軟に提供できる点も、大きな特徴のひとつです。
BPOは、業務効率化の手段であると同時に、総務組織がより戦略的な役割を担うための土台づくりにもつながります。体制の見直しや総務機能のアップデートを検討している企業にとって、総務BPOは有力な選択肢のひとつです。
GOOD PLACEでは総務をはじめとしたバックオフィス体制の見直しはもちろん業務委託の検討段階から相談いただけます。
オフィス事例集など、オフィス構築に役立つ資料をご提供しています。
GOOD PLACE|バックオフィス部門のアウトソーシング
- バックオフィス業務のアウトソーシングは何名規模の会社から導入できますか?
- 従業員50名程度の企業から導入実績があります。「大企業向け」というイメージがありますが、中小企業でも総務担当者が1〜2名で業務が属人化している場合や、担当者の退職リスクを抱えている場合に導入されるケースが増えています。GOOD PLACEでは、企業規模や課題に応じた柔軟な体制設計が可能です。まずは現状の課題をお聞かせください。
- バックオフィス業務のアウトソーシング導入前に準備すべきことはありますか?
- 特別な準備は不要です。「業務が整理できていない」「マニュアルがない」という状態でも問題ありません。GOOD PLACEでは、業務の棚卸しや課題整理の段階から支援しています。むしろ、現状の課題や「こうなったらいいな」というイメージをお持ちいただくだけで十分です。初回のヒアリングで一緒に整理していきましょう。
- アウトソーシング委託先の選び方で失敗しないポイントは?
- 失敗しない選び方のポイントは3つです。
①導入目的を明確にする(人手補充か、業務標準化か、働き方改革か)、②委託する業務範囲を具体的に整理する(頻度・工数・課題を共有)、③総務部門だけでなく会社全体の視点で検討する。また、総務だけでなくバックオフィス全体に知見があるか、将来的なスコープ変更に柔軟に対応できるかも確認しましょう。 - 総務BPOを導入するか迷っています。相談だけでも可能ですか?
- もちろん可能です。「アウトソーシングが自社に合っているかわからない」「派遣とどちらがいいか判断できない」という段階でのご相談も歓迎しています。GOOD PLACEでは、お客さまの状況をヒアリングしたうえで、派遣・アウトソーシングのどれが最適かを一緒に検討します。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。